風力発電を北九州市に集積、港湾地区に3社が進出自然エネルギー

風況の良さを生かした風力発電産業の拡大を目指す北九州市で、新たに3社が発電事業に乗り出すことが決まった。港湾地区にある廃棄物最終処分場の跡地に発電設備を建設する予定だ。同地区には大規模な風力発電所が運転中のほか、沖合では洋上風力発電の実証実験も始まっている。

» 2013年07月12日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 九州の最北端にある北九州市は大規模な港を擁する産業地域で、港湾地区を「グリーンエネルギーポート」と位置付けて風力発電産業の集積地に発展させることを目指している。この地区に市が保有する廃棄物最終処分場の跡地があり(図1)、風力発電事業者を誘致したところ3社の進出が決まった。

図1 北九州市が風力発電の実証・研究拠点に位置付ける港湾地区。出典:北九州市港湾空港局

 北九州市が選定した事業者は、風力発電のメンテナンスを専門にする「北拓」、メガソーラーの開発を主力にする「自然電力」、さらに一般社団法人の「日本再生可能エネルギー推進機構」である。各事業者が市の公募に応じて企画を提案して、3件すべてが採択された。

 建設予定地は全体で24万平方メートルの広さがあり、その一部が大型風力発電施設に割り当てられる(図2)。事業者は1平方メートルあたり約2万円で北九州市から土地を購入することが条件になっている。

図2 風力発電設備の建設予定地。出典:北九州市港湾空港局

 3社のうち自然電力は開発計画とスケジュールを発表している。発電能力が2.5MW(メガワット)の大型風車1基を2014年11月に稼働させるほか、2015年以降に大型風車を含む風力発電設備の物流拠点と製造拠点を地区内に設置する予定である。

図3 同じ地区で運転中の「エヌエスウインドパワーひびき」。出典:新日鉄住金

 北九州市の港湾地区は北側に響灘(ひびきなだ)の広い海域があり、北西方向から平均6メートル/秒を超える風が吹く絶好の場所である。すでに地区内では「エヌエスウインドパワーひびき」が2003年から、1.5MWの風車10基で運転を開始している(図3)。

 さらに沖合では、日本で2番目の大型洋上風力発電設備が6月27日に運転を開始したところだ。港湾の物流機能と良好な風況を生かして、陸上と洋上の両方をターゲットにした風力発電産業が北九州市を中心に広がってきた。

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