2013年5月に値上げを実施した関西電力の単価は沖縄を除くと西日本で最も高くなった。夜間と休日の単価を安くした時間帯別の料金プランを企業向けと家庭向けで提供している。ただし家庭向けのメニューは単価が高くなる時間帯を他の電力会社よりも長く設定している点に注意が必要だ。
値上げする以前の関西電力の電気料金は全国平均よりも低い水準だった。水力発電と原子力発電の比率が高かったからだ。しかし火力発電では燃料費の高い石油を使う設備が多く、安い石炭を使える設備が少ない。最近になって一気に発電コストが増えてしまい、値上げに踏み切ることになった。
標準的なメニューの単価を見ると、家庭・商店向けの「従量電灯」と大規模ビル向けの「特別高圧」が高い。この2種類の料金は西日本では沖縄に次いで2番目に高い水準になっている。
特に従量電灯の3段目(月間使用量が300kWh超)の単価は全国で関西だけが30円を超えている(図1)。多くの電力を使う家庭や商店にとっては負担が大きい。節電対策に加えて、割引プランを適用して電気料金を抑えたいところだ。
関西電力が家庭・商店向けに提供している割引プランのうち主なものは2つある。1つは「季時別電灯PS」というメニューで、名前が示すように季節と時間帯によって単価が変わる。
他の電力会社が提供する時間帯別料金と同様に、夏の昼間をピーク時間に設定して単価を高くする代わりに、夜間の単価を大幅に安くしている。日中の使用量が少なく、夜間に集中して電力を使う家庭や商店ならばメリットがある。
ただし中間に「オフピーク時間」の設定があって、通常の従量電灯よりも単価が高くなるので注意が必要だ。オフピーク時間は朝の7時から夜の23時まで長時間にわたって適用される。従量電灯と同様に3段料金になっていて、2013年5月からの新単価で比較しても従量電灯より1〜2円ほど割高になる(図2)。
もう1つの割引プランは「はぴeタイム」というユニークな名前が付いている。通常の従量電灯や季時別電灯PSのような3段料金制ではなく、時間帯と曜日によって一律の単価を設定しているのでわかりやすい。
平日の10時〜17時の時間帯を除いて、従量電灯の2段目料金(26.51円)よりも安い(図3)。夜間の単価は季時別電灯PSと同じで10.76円と大幅に安くなる。平日の昼間に電力を使わない単身者などには有利なメニューと言える。
はぴeタイムは2015年3月末で新規加入の受付を終了することになっている。効果が期待できる利用者は早めに申し込んだほうがよいだろう。
企業向けの高圧と特別高圧にも時間帯別のプランがある。メニュー名の最後に「TOU」(Time Of Use)の3文字が付いている。例えば高圧小口のメニューは標準的なものが「高圧電力AS」で、時間帯別のプランは「高圧電力AS−TOU」になる。
いずれのTOUも料金体系は同様で、他の電力会社の割引プランとも大きな違いはない。夏季(7月〜9月)の日曜日を除く日中10時〜17時が「重負荷時間」に設定されて単価が大幅に高くなる(図4)。標準メニューの単価と比べると35%も高い。
日曜日以外の8時〜22時も「昼間時間」として少しだけ高くなるが、ほとんど違いはない。残る22時〜8時と日曜日が「夜間時間」になり、単価が10.80円に下がって通常よりも2割程度は安くなる。夏季の日中に使う電力が少なめで、日曜日や夜間に多くの電力を使うような業態に向いている。
連載(11):「北陸電力のメニュー」
連載(13):「中国電力のメニュー」
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