地下鉄だって太陽光は可能、東京メトロが東西線3駅に新設自然エネルギー

東京メトロは東西線の地上走行区間8駅に太陽光発電システムを導入し、合計出力1MWの「東西線ソーラー発電所」を作り上げる計画だ。2013年8月には3駅に新設し、1駅に増設、2014年の計画完成を目指す。

» 2013年08月23日 11時50分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 鉄道と太陽光発電の組み合わせは、工夫次第で可能性が開けてくる代表例だ。例えば地下鉄。地下鉄は地下を走る。地下には太陽光はない。だが、太陽光発電システムの導入は可能だ。駅があるからだ。

図1 東西線の地上走行区間。東京都から千葉県に向かう

 東京メトロは2012年に公開した2020年度に向ける長期環境戦略「みんなでECO.東京メトロ・エコプロジェクト」に従い環境配慮型車両の投入、LED照明の導入、太陽光発電システムの設置を進めている。最初に設置したのは千代田線の北綾瀬駅だ。その後、東西線を中心として地上駅に太陽光発電システムを順次導入中である(図1)。

 荒川のすぐ西で地上に顔を出す東西線はその後、終点の西船橋まで約14km、ほぼ高架上を走る。この区間に地上駅は8つある。2013年8月下旬に発電が始まる4駅に約10億円を投じた。西葛西駅と葛西駅、原木中山駅で新たに太陽光発電システムの運転が始まり、南行徳駅の増設工事も完了する(図2)。2014年中に行徳駅と西船橋駅の設置工事が終わると、「東西線ソーラー発電所」の合計量容量は約1MWに達する。地下鉄メガソーラーの完成だ。年間発電量として約100万kWhを見込む。

図2 「東西線ソーラー発電所」計画の進捗状況。出典:東京メトロ

 東京メトロのメガソーラーの目的は、あくまでも社内での利用だ。固定価格買取制度(FIT)は利用せず、駅の照明やバリアフリー施設、空調、信号、通信など電気設備の電力に利用する。工事や管理も基本的には社内で進める。国が描く再生可能エネルギーの使い方に合致しており、他社の模範となる形だ。

太陽電池を設置しやすい駅

 太陽電池モジュールはほぼ全て駅の「屋根」に設置する。駅は大量の利用者を見込んで設計されているため、屋根を付け替えることはせず、改良工事を施さなくてもそのまま設置できるという。

 軽量な太陽電池モジュールを利用しているということもない。西葛西駅ではソーラーフロンティアのCIS薄膜太陽電池モジュールを採用した(図3)。葛西駅は東芝の単結晶Si(シリコン)太陽電池モジュール、原木中山駅は三菱電機の単結晶Si太陽電池モジュールだ。

図3 4駅の設置状況。出典:東京メトロ

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