東京電力がスマートメーターを競争入札、家庭向けの標準タイプから電力供給サービス

次世代の電力システムに欠かせないスマートメーターの本格導入に向けた動きが活発になってきた。合計で2700万台を設置する予定の東京電力が10月中に競争入札を開始する。2014年度に調達する家庭向けの60A仕様の製品が最初の入札対象になり、多数のメーカーの応募が見込まれる。

» 2013年10月04日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 東京電力が調達するスマートメーターは利用者の契約電力に合わせて、30A(アンペア)、60A、120Aの3種類の仕様を予定している。このうち設置台数が最も多い60Aの競争入札を10月中に開始する。続いて120Aを12月に、30Aを2014年3月に実施する計画だ。

 すでに東京電力の管内では企業向けのスマートメーターは設置が完了していて、2014年度から家庭向けの設置が本格的に始まる。計画では年間に320万台ずつ導入を進めていく予定で、当初は通信ユニットを含めて1台あたりの調達コストを1万2000円程度と見込んでいる(図1)。

図1 東京電力のスマートメーター導入計画(年度は平成で表記)。出典:東京電力

 最近になって北海道・東北・中部・北陸の4電力会社も東京電力の仕様に合わせてスマートメーターを調達する方針を明らかにしている。メーカーにとっては先行する東京電力で受注が決まれば、量産効果を発揮して他の電力会社向けの競争入札でも有利になる。このため東京電力の入札に対して思い切った低価格で応じるメーカーが出てくることも予想され、想定を下回る価格になる可能性が大きい。そうなると東京電力にはコスト削減のメリットが生まれる。

 スマートメーターに関連して東京電力は3つの領域で競争入札を実施する(図2)。メーター本体に加えて、メーターと電力会社をつなぐ通信システム、さらにメーターから送られてくるデータを集計・管理するMDMS(メーターデータ管理システム)がある。すでに通信システムは東芝、MDMSはNTTデータが競争入札を経て開発することが決まっている。両方のシステムともにメーター本体の本格導入に合わせて2014年度から運用を開始する予定だ。

図2 東京電力が競争入札を実施する領域。出典:東京電力

 東京電力が調達するスマートメーターには通信ユニットを実装することが条件になっていて、電力会社とのあいだで3種類の通信方式に対応できるようにする必要がある(図3)。メーター間を転送する「無線マルチホップ」のほか、電線を通信に利用した「PLC(電力線通信)」、携帯電話のネットワークを利用する「携帯」を含めて、メーターを設置する場所によって選択できるようにする。

図3 スマートメーターと電力会社を結ぶ3種類の通信方式(画像をクリックすると拡大)。出典:東京電力

 さらにスマートメーターと家庭内の機器を接続するための通信機能も備える必要がある。国内標準規格の「ECONET Lite」に準拠した通信方式で、920MHz帯の無線とPLCの2種類に対応しなくてはならない。以上の仕様は東京電力が2012年10月から12月にかけてメーカーに開示済みで、すでに多数のメーカーが対応製品の開発を完了している。

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