買取制度の認定設備が続々と動き出す、4〜6月に190万kW発電開始法制度・規制

固定価格買取制度で認定を受けたまま稼働しない発電設備が問題視されていたが、2013年度に入って4〜6月の3カ月間で数多く動き始めたことが資源エネルギー庁の集計で明らかになった。太陽光を中心に190万kWの設備が新たに運転を開始した結果、認定設備のうち16%が稼働状態に入った。

» 2013年10月08日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 発電設備は規模が大きくなれば、当然ながら建設から運転まで時間がかかる。これまでに固定価格買取制度の対象として認定を受けていた発電設備が2013年度に入って続々と運転を開始した。4〜6月の3カ月間に新たに稼働した設備は190万kWにのぼり、3月までの9カ月間を上回る規模で増えている(図1)。

図1 固定価格買取制度の導入後に運転を開始した設備と認定を受けた設備の発電規模(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 固定価格買取制度を開始した2012年7月からの1年間の累計では367万kWに拡大した。単純に出力を比較すると原子力発電所の約3基分に匹敵する(関西電力の大飯発電所3・4号機が1基あたり118万kW)。とはいえ太陽光や風力の発電効率は原子力よりも低いため、年間の発電量は相対的に少なくなる。

 さらに稼働前の発電設備まで含めると、買取制度の開始から1年間で合計2291万kWが認定を受けている。6月末時点で稼働率は16%である。引き続き太陽光発電が全体の9割以上を占めていて、特に出力1000kW以上のメガソーラーが6割近くにのぼる。ただし3月までに急増した反動で、4〜6月の増加ペースは緩やかになってきた(図2)。同様に1000kW未満の非住宅用や10kW未満の住宅用も着実な伸びを見せている。

図2 太陽光発電設備の認定状況(累計、単位:kW)

 太陽光を除く4種類の再生可能エネルギーの中では、バイオマスの拡大が目立つ(図3)。4〜6月の3カ月間で認定設備の発電規模が3倍以上になった。バイオマスのうち木質が7割以上を占めているほか、廃棄物を利用する発電設備も全国各地で増えている。

図3 太陽光を除く発電設備の認定状況(累計、単位:kW)

 すでに運転を開始した発電設備の比率を見ると、バイオマスは15%で太陽光とほぼ同じ稼働状況になっていて、建設期間が短いことがわかる。一方、風力は8%、中小水力は3%と低く、認定を受けてから稼働までに時間がかかっている。地熱は現在のところ出力1万5000kW未満の発電設備が6件だけ認定されるにとどまっていて、そのうちの1件が運転を開始した状況だ。

 当面は太陽光とバイオマスによる再生可能エネルギーが拡大して、中長期には風力・中小水力・地熱が伸びていく構造になってきた。

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