夏のピーク時に太陽光と風力で244万kW、原発2基分を供給自然エネルギー

電力会社9社が太陽光発電と風力発電によって供給する電力が増えている。2013年夏の電力需要がピークになった時間帯の実績を集計した結果、太陽光と風力の合計で244万kWに達した。原子力発電所の2基分に相当する規模で、再生可能エネルギーが原子力を代替する状況が進んできた。

» 2013年10月09日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 政府の電力需給検証小委員会が2013年夏の実績をまとめたもので、各地域で需要がピークに達した日時の太陽光発電と風力発電の供給力を9つの電力会社ごとに集計した。

 太陽光発電では東京電力の管内で最大需要日の8月9日に56万kWを供給したのが最高だった(図1)。次いで中部の51万kW(8月22日)、関西の44万kW(同)の順に多かった。いずれも委員会が事前に予測した数値を2倍前後も上回っており、予想以上の伸びになっている。九州だけは予測値を下回ったが、最大需要日の8月20日のピークが夕方の16時台にずれこんだことが要因だ。

図1 太陽光発電の供給力(画像をクリックすると拡大)。出典:電力需給検証小委員会

 供給対象になった太陽光発電設備の最大出力を9つの電力会社で合計すると876万kWにのぼった。ピーク時の設備利用率(最大出力に対する実際の出力)を計算すると25%になり、太陽光発電の標準値である12%の約2倍を発揮した。

 一方の風力発電によるピーク時の供給力は9電力会社を合わせて24万kWになった。最大は九州の5.1万kWで、次いで四国の4.8万kW、東北の4.1万kWと続く(図2)。対象設備の最大出力は合計で260万kWになり、設備利用率は9%と低い。晴天時には風が弱いことが多く、夏のピーク需要には風力よりも太陽光の効果が大きいことがわかる。

図2 風力発電の供給力(画像をクリックすると拡大)。出典:電力需給検証小委員会

 前年の2012年夏には太陽光が121万kW、風力が13万kWだったことから、2013年の夏は太陽光と風力ともに2倍近くに増加した。両方を合わせた供給力244万kWは、原子力発電所で唯一稼働していた関西電力の大飯発電所3・4号機の合計出力236万kWを上回っている。

 固定価格買取制度によって、太陽光を中心に全国各地で再生可能エネルギーによる発電設備が増え続けている。2014年の夏も供給力が大幅に伸びることは確実である。ただし電力会社が発電事業者などから買い取る電力は通常よりもコストが高く、その差額は電気料金に上乗せされる。2013年度は全国平均で電力1kWhあたり0.1円程度だが、再生可能エネルギーによる電力の供給量に合わせて今後は増加していく見通しだ。

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