生ごみや廃棄食品からバイオガスで発電、堆肥も生成して農業に生かすスマートシティ

愛知県の知多半島にある大府市で、未利用の生ごみなどからバイオガスを生成して発電する計画が動き出した。名古屋市を含む近隣の自治体からも生ごみや廃棄食品を購入して、バイオガスで1300世帯分の電力を供給する。さらにバイオガスの生成段階で堆肥を作り出して農業にも生かす。

» 2013年10月28日 09時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 大府(おおぶ)市は名古屋市の中心部から20キロメートルの近さにあって、ベッドタウンとして人口が増え続けている。生ごみや廃棄食品の量も増えていて、年間に5000トンにも達する。これまでは大半を焼却埋立処理するだけだったが、新たに国の補助金を受けてバイオガス発電施設を建設することになった。

 地元の廃棄物処理会社であるオオブユニティが事業者になり、2014年1月に着工する(図1)。運転開始は2015年10月を予定している。発電能力は600kWで、年間の発電量は500万kWhを想定している。固定価格買取制度を利用して全量を中部電力に売電する計画だ。バイオガスによる電力の買取価格は1kWhあたり39円になり、現時点では太陽光発電よりも高い。

図1 バイオガス発電施設の完成イメージ。出典:オオブユニティ

 計画中のバイオガス発電施設は1日に最大70トンの生ごみなどを受け入れることができる。大府市のほかに周辺の名古屋市などからも生ごみや廃棄食品を購入して発電事業に利用することにしている。

 生ごみなどからバイオガスを生成する過程で、中間にメタン発酵堆肥を作る必要がある(図2)。この堆肥は農家に肥料として提供する。さらに堆肥から乾燥汚泥燃料を生成することにも取り組む。

図2 バイオガス発電施設の事業の流れ。出典:大府市役所

 大府市がある知多半島は自動車産業と農業の盛んな地域である。周辺の自治体でもバイオマスの活用を積極的に進めているほか、風力発電所やメガソーラーも稼働する再生可能エネルギーの先進地域になっている(図3)。

図3 知多半島で稼働・計画中の主な再生可能エネルギー施設。出典:大府市役所

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.