「県民による県民のための」発電所、熊本の2カ所で募集開始自然エネルギー

太陽光発電や小水力発電が盛んな熊本県で、自治体が主導する地域密着型の発電事業が始まろうとしている。事業の出資から建設・運営まで、地元の企業や住民が参画することを前提にしたプロジェクトである。第1弾として県内2カ所の用地を対象に事業者の募集を開始した。

» 2013年10月30日 09時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 熊本県は「未来型エネルギーのトップランナー」を目指して、県を挙げて再生可能エネルギーの導入を推進中だ。すでにメガソーラーの建設も数多く進んでいるが、大半は県外の事業者によるものである。太陽光から地熱まで豊富な資源を活用した事業の利益を県内に還元できるように、「くまもと県民発電所」の構想が具体的に動き出した。

 第1弾として太陽光発電所を2カ所に建設する。1カ所は天草市にあった県立高校の跡地で、約1万1000平方メートルの広さがある(図1)。想定する発電規模は800kW、年間の発電量は85万kWhになり、買取期間の20年間に1億5000万円程度の利益を見込んでいる。初期事業費の2億4000万円のうち約1割を県民によるコミュニティファンドで調達することが条件になる。

図1 「旧・天草東高校」の跡地。出典:熊本県商工観光労働部

 もう1カ所は産業廃棄物の最終処分処理場の屋根を活用するもので、1万4000平方メートルのスペースに2MW(メガワット)の太陽光パネルを設置することが可能だ(図2)。年間に200万kWhの発電量を想定して、20年間で3億5000万円の利益を見込む。初期事業費5億5000万円のうち、同様に約1割をコミュニティファンドで調達する必要がある。

図2 「公共関与最終処分場」の太陽光パネル設置イメージ(建物の屋根に設置)。出典:熊本県商工観光労働部

 くまもと県民発電所は「県民による県民のための」をスローガンに、県内の事業者が地域主体に資金を調達して、建設工事や資材調達も地元を優先させる(図3)。そのために熊本県は専門家による認証機関を設けて、審査に合格したものだけを県民発電所として認証する制度を作った。認証を受けたプロジェクトに対しては、自治体が所有する遊休地の貸し出しを含めて各種の支援がある。

図3 「くまもと県民発電所」の事業スキーム。出典:熊本県商工観光労働部

 熊本県は第1弾の2つの案件に対して11月15日(金)まで応募を受け付け、12月中旬に事業者を決定する方針だ。発電の開始時期は旧・天草高校の跡地が2014年度を予定している。最終処分場は施設を建設中のため、建設が完了して供用を開始できる2015年秋をめどに発電を開始する。

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