北海道に続いて沖縄でも、太陽光発電の接続量が限界に近づく自然エネルギー

経済産業省は4月に発表した北海道に続いて、沖縄本島でも太陽光発電の接続量が限界に近づいてきたことを公表した。12月中にも限界値の57MW(メガワット)に達する可能性がある。発電事業者に注意を喚起する一方、北海道と同様に大型蓄電池を設置するなどの対策を実施する。

» 2013年12月05日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 沖縄と北海道に共通する問題点は、地域内の送電網の許容量が小さいことだ。それに加えて周囲を海に囲まれているために、余った電力を他の地域に送電できる量も限られている。太陽光や風力による発電設備が増加した場合、天候による出力の変動を送電網で吸収しきれなくなる可能性がある(図1)。この問題を回避するために、電力会社は発電設備の接続量を制限している。

図1 太陽光発電による余剰電力の発生。出典:経済産業省

 沖縄電力は沖縄本島を対象に、出力が300kW以上の太陽光発電設備を接続できる限界値を57MW(メガワット)に設定している。経済産業省によると、すでに沖縄本島で接続の申し込みが完了している設備の発電規模が合計で50MW程度にまで増えていて、早ければ12月中にも57MWの限界に達する状況になってきた。

 接続量が57MWに達すると、沖縄電力は出力300kW以上の太陽光発電設備の接続申し込みを受け付けない。事業者が発電設備を建設しても、固定価格買取制度の適用を受けられなくなってしまう。ただし発電設備と合わせて出力変動を吸収できる蓄電池を設置した場合には接続が認められる。

 この沖縄本島の接続量の問題に対して、経済産業省は緊急対策を実施する。まず沖縄電力の実証設備に2MWの大型蓄電池を設置して、1〜2年以内に実用化を図る。太陽光発電からの電力を蓄電池に取り込むことによって、接続可能量を5MW程度は増やせる見通しだ。蓄電池の設置場所は、沖縄本島の北部で稼働中の「安部メガソーラー実証研究設備」になる可能性が大きい(図2)。

図2 「安部メガソーラー実証研究設備」の全景。出典:沖縄電力

 さらに2014年度に44億円の予算で実施予定の「電力系統出力変動対応技術研究開発事業」の中で、離島を対象にした送電網の制御・管理技術を開発する計画がある。この技術を沖縄本島にも適用して、太陽光発電設備の接続可能量を拡大できるようにする考えだ。

 経済産業省は北海道と沖縄以外の地域では、太陽光や風力による発電設備の接続量が限界に達する心配は当面ない、との見通しも明らかにした。

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