京都市にも「屋上メガソーラー」、市民出資方式を併用スマートシティ

全国の自治体が公共施設の屋根を貸し出す形で、「屋上メガソーラー」の実現に相次いで乗り出している。京都市は約30カ所の市有施設の屋根を発電事業者に貸し出して、2013年度中に発電を開始する計画だ。市民からの出資で運営する「市民協働発電制度」も同時に推進していく。

» 2013年12月11日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 建物の屋根のスペースを数多くまとめれば、空き地の少ない都市部でもメガソーラーを造ることができる。京都市は小中学校など31カ所の市有施設の屋根を発電事業者に貸し出すことを決めた。12月18日まで応募を受け付け、12月中に事業者を決定したうえで、2014年3月末までに発電を開始する計画だ。2013年度の買取価格(1kWhあたり36円)で20年間の事業運営ができることを前提にする。

 対象になる31カ所の施設の屋根のうち、太陽光パネルを設置できるスペースを合計すると約1万2500平方メートルになる。他の自治体が実施した事例では合計1万平方メートル程度の屋上で1MW(メガワット)の発電設備を設置できたことから、京都市の場合も1MW以上の発電能力を発揮できるものとみられる。

 事業者の選定にあたっては、発電事業を長期間にわたって安定して運営できることのほか、地域の経済や社会に対する貢献プログラムを重視する方針だ(図1)。市の収入になる屋上の使用料も評価項目に含めるが、採点の比重は全体の15%にとどめる。

図1 京都市が実施する「太陽光発電屋根貸し制度」。出典:京都市環境政策局

 同時に市民の出資を募る「市民協働発電制度」を拡大する。すでに31カ所の施設のうち2カ所については、この制度を適用した応募があった。京都市が提案を受諾した場合には、2014年2月に出資者を募集することになる。

 出資の形式は1口10万円で、15年間をめどに出資金と利益を1年ずつ還元していく。利益は国債の金利と同等を目安にする。還元方法は現金のほかに、地元の特産物や市が運営するバスや地下鉄の乗車券などで受け取ることも可能になっている。市民を巻き込みながら再生可能エネルギーの拡大と地域経済の活性化を促進する狙いである。

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