東京都内に「屋上メガソーラー」、38施設を合わせて1MWスマートシティ

空き地の少ない都市部でも、屋根を使えばメガソーラーを作ることができる。東京都心から20キロ圏内にある調布市で、38カ所の公共施設の屋上を利用したメガソーラーが誕生する。事業を運営するのは市民が設立した非営利型の株式会社で、2014年6月に全施設の発電設備を稼働させる予定だ。

» 2013年12月05日 09時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 調布市が再生可能エネルギーの拡大と地域の活性化を目的に、公共施設の屋根を太陽光発電の用地として貸し出す(図1)。対象になる施設は19棟の市営住宅のほか、保育園や児童館、福祉センターなど、合計38カ所におよぶ。全体を合わせると発電規模は1MW(メガワット)になり、年間の発電量は100万kWh程度を見込んでいる。一般家庭で270世帯分の電力に相当する。

図1 屋根貸し事業の対象になる「多摩川自然情報館」。出典:調布市環境部

 公募によって事業者に選ばれたのは、地元の「調布まちなか発電」である。市民の有志が再生可能エネルギーを普及させる目的で設立した(図2)。メガソーラーは調布市との協定に基づいて、2014年1月から発電設備の工事に入り、4月には一部の施設で発電を開始する予定だ。6月までにすべての設備を稼働させる。

図2 「調布まちなか発電」の位置づけ。出典:調布市環境部

 調布まちなか発電はメガソーラー事業を通じて、さまざまな地域貢献プログラムも実施する。第1に各施設で停電が発生した場合には、太陽光発電からの電力を無償で使えるようにする。第2に各施設の電力使用量や発電量を見える化して、エネルギーの効率的な利用と促進活動を支援する。

 さらに市の環境対策の基金に対する寄付も予定している。同社は「非営利型株式会社」として、利益剰余金を株主に配当する代わりに社会貢献のために提供する方針だ。メガソーラー事業の運営に必要な資金を市民ファンドで調達することも計画していて、2016年度に実施する計画である。

 メガソーラーの事業期間は固定価格買取制度による売電が可能な20年間のほかに、発電設備の設置・撤去を含めて合計で25年以内になる。

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