電気に関する重要な法律の1つ「電気用品安全法」が改正されて、2014年1月1日に施行する。家電製品をはじめ、コンセントや分電盤、小規模な発電・配電・蓄電設備を含めて、電気機器の安全性を確保するための法律である。改正によって技術基準が簡素化されて、最新技術に対応しやすくなる。
電気機器の安全な利用を促進するための法律は2つある。機器の製造段階で品質を確保する「電気用品安全法」と、使用段階の不良を改善する「電気事業法」である。電気事業法は電力市場全般を規制する内容が多いが、電気用品安全法は機器に関する規制が中心になっていて、より一般の利用者に直接の影響を与える。
電気用品安全法の目的は「電気用品による危険と障害の発生を防止する」ことにある。危険とは感電や火災など、障害とは電波障害などを想定している。安全基準に適合した機器には「PSEマーク」を表示することができる。われわれの身近にある家電製品には、たいていPSEマークが付いている。PSは「Product Safety」、Eは「Electrical Appliance & Materials」の略である。
電気用品を製造・販売する事業者は、電気用品安全法に定められた基準に従って製造および検査した製品を市場に出す義務がある。対象になる電気用品は3つに分類されている。1つは「一般用電気工作物」と呼ばれるもので、建物内の配電設備などが該当する(図1)。ビルや家庭に設置されている分電盤が代表的な例だ。
もう1つは一般用電気工作物に接続して使う「電気用品」である。このうち不良が生じると感電や火災の影響が大きいものを「特定電気用品」として、検査の基準を厳しくしている。コンセントやACアダプターが含まれる(図2)。それ以外の電気用品は3つ目の分類になり、冷蔵庫やテレビ、照明器具などの一般的な家電製品が対象になる。
電気用品安全法で規定している主な内容は以下の5項目だ。
2014年1月1日に施行する法改正によって、技術基準が簡素化される。従来は品目ごとに寸法や形状などの仕様まで規定していたが、改正後は安全性を確保するための性能面だけを規定する。
技術基準を5つの階層に分けて、機能的な要求項目までを電気用品安全法で規定する一方、機能を実現するための具体的な手段や方法は「JIS(日本工業規格)」などの公的な基準を適用する形に変わる(図3)。事業者は最新の技術や素材を採用しやすくなり、製品の開発や改良を早めることができる。
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