火力発電の依存度が高まる中、電力会社や新電力のあいだでCO2排出率に大きな差が出ている。環境省が公表した2012年度の実績によると、電力会社10社のうちCO2排出率が最も低かったのは中部電力、2番目は東京電力だった。新電力は総じて電力会社よりもCO2排出率が低めである。
環境省は2009年度から、電力会社(一般電気事業者)と新電力(特定規模電気事業者)の温室効果ガス排出量を公表している。このほど最新の2012年度の実績がまとまった。
電力会社10社の中では、中部電力のCO2排出係数(販売電力量1kWhあたりのCO2排出量)が最も低かった(図1)。再生可能エネルギーの買取量などを反映した「調整後排出係数」は0.000373である。
2番目に低いのは東京電力の0.000406で、2社ともに火力発電の高効率化に積極的に取り組んできた効果が表れている。
一方で排出係数が最も高いのは沖縄電力である。0.000692は中部電力の1.86倍にもなる。ただし沖縄の場合は主要な島ごとに小規模な火力発電所を設けなければならない特殊な事情があり、やむを得ない面もある。
次いで排出係数が大きいのは北海道電力、中国電力、四国電力の順だ。電力の販売量が多い関西電力は0.000475で中部の1.27倍、九州電力は同1.61倍の高さである。各社ともに火力発電の高効率化が遅れている。
一方、新電力29社のCO2排出係数は事業者ごとの差が大きく開いている(図2)。調整後の最高値は0.000789で、最低値は0.000091である(排出係数がゼロは除く)。実係数と調整後の差が大きい事業者は再生可能エネルギーの割合が高いためとみられる。
調整後の排出係数がゼロの2社を除く27社の数値を見ると、東京電力の0.000406よりも低い事業者が11社ある。電力会社10社の平均値0.000561を上回る事業者は3社しかない。新電力は比較的新しい発電設備の電力を販売している傾向が見てとれる。
これから電力システムの改革が急速に進んで、発電事業者と小売事業者が増えていけば、CO2排出量は確実に減っていくはずだ。
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