パナソニックが「発電アグリゲーション」、住宅で作った電力を企業に販売電力供給サービス

太陽光発電システムをはじめ住宅用のエネルギー関連製品を販売するパナソニックが電力の小売事業に参入する。2014年の夏から開始して、2018年度に住宅の契約件数を50万件に拡大する目標だ。住宅で発電した電力を集約して新電力や一般企業に販売する「発電アグリゲーション」を展開する。

» 2014年01月24日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 パナソニックは2018年に住宅関連事業の売上を2兆円に成長させる目標を掲げていて、その1つに「発電アグリゲーション」を位置づける。2014年1月31日付で新会社の「パナソニック・エプコ エナジーサービス」を設立して事業を開始する。新会社は企業や自治体などに電力を販売できる新電力(特定規模電気事業者)になる予定である。

 事業の内容は「発電アグリゲーション」と呼ばれるもので、住宅に設置した太陽光発電システムの電力を買い取って、他の新電力や一般企業に販売する(図1)。各住宅の発電量を予測しながら、省エネのサービスも加えて外販できる電力量を増加させる方針だ。固定価格買取制度よりも高く買い取ることにより、対象の住宅数を一気に伸ばしていく。

図1 「発電アグリゲーション」の事業スキーム。出典:パナソニック、エプコ

 まず2014年の夏から関東や関西でサービスを開始して、その後に他の地域へ順次展開する。2018年度には住宅の契約件数を50万件に拡大する目標を掲げている。住宅に設置できる太陽光発電システムは現在のところ出力4kWが標準的である。50万件になれば最大200万kWに達して、原子力発電所の2基分に相当する規模になる(ただし年間の発電量は2基分の約5分の1)。

 2016年になると家庭を含めて電力の小売が全面的に自由化されることから、自由化後には小売の対象に家庭を加える可能性が大きい。家庭向けに節電・蓄電・発電を組み合わせた総合的なエネルギーサービスを提供して、今後の成長を見込む住宅関連事業の柱に据える。

 パナソニックは発電アグリゲーションを展開するにあたって、住宅向けのエネルギーサービスで実績のあるエプコと共同で実施することにした。新会社も合弁(パナソニック51%、エプコ49%)で設立して、エプコの設計・施工・運営のノウハウやシステムを生かす。パナソニックは2009年からエプコの株式を約15%保有している。

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