東京電力が2014年4月から各家庭に設置する新しいスマートメーターでは、家電機器との無線通信が可能になる。スマートメーターを家庭内の電気機器とつなぐための無線通信ユニットを東芝とNECが共同で開発して、東京電力のスマートメーターに実装することを明らかにした。
スマートメーターと家電機器を接続するための通信方式には2種類ある。1つは家庭内に張りめぐらされている電力線を使ったPLC(電力線通信)で、もう1つが無線通信だ。東京電力が2014年度から家庭向けに設置するスマートメーターには、この2つの方式の通信ユニットが組み込まれることになっている。
無線通信方式では国際通信規格の「Wi-SUN」に準拠する必要がある。その通信機能を使って、家庭向けのエネルギー管理システム(HEMS)で国内標準の「ECHONET Lite」を実装することが東京電力のスマートメーターの仕様になっている。
東芝とNECはWi-SUNとECHONET Liteを組み合わせた無線通信ユニットを共同で開発して、初めての国際認証を受けた。東京電力が2014年4月から家庭向けに設置するスマートメーターに内蔵する。スマートメーターにWi-SUNとECHONET Liteを実装することによって、家庭内にあるパソコンやタブレット端末を使ったHEMSと無線でデータを送受信できるようになる(図1)。
さらにテレビやエアコンなどの家電機器にも同様の通信機能を組み込めば、各機器の電力使用量をHEMSでリアルタイムに収集して、スマートメーターと連携した節電対策を実行することが可能だ。今後は電力の需給状況に応じて使用量を抑制するデマンドレスポンスのサービスが始まり、それにも対応しやすくなる。
電力会社がスマートメーターで展開する通信ネットワークは3つの領域で計画されている(図2)。スマートメーターからのデータを電力会社が収集するためのネットワークが「Aルート」で、企業や家庭の機器とつなぐネットワークが「Bルート」と呼ばれている。さらに電力会社が収集したデータを外部に提供するためのネットワークが「Cルート」である。家庭内のHEMSと連携する通信機能はBルートを実現する。
東芝とNECが開発した無線通信ユニットは先行して東京電力のスマートメーターに実装されるが、他の電力会社も採用するかどうかは明らかになっていない。同じ規格に準拠した通信機能は他のメーカーでも開発を進めている。全国で8000万台の設置が見込まれるスマートメーターをめぐる開発競争はますます激しくなっていく。
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