JR東日本が風力発電へ、東北の北部を「再エネ基地」にスマートシティ

JR東日本が秋田県に所有する「鉄道林」の中で風力発電の事業化調査を開始する。高さ50メートルの風況観測ポールを3月上旬に設置して、約1年間かけて風速などを調べる予定だ。東北の北部を「再生可能エネルギー基地」として発展させる第1弾のプロジェクトになる。

» 2014年02月25日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 風力発電の調査を実施する場所は日本海に面した秋田市の下浜海岸で、JR東日本が鉄道を守るために設けた「鉄道林」の中にある(図1)。すぐ近くを国道7号線と羽越本線が並行に走っている。この一帯は年間を通して日本海から強い風が吹き、風力発電の適地とみなされる地域である。

図1 風況調査を実施する場所。出典:JR東日本
図2 風況観測ポールのイメージ。出典:JR東日本

 風力発電を実施するためには風速や風向などの「風況」を調査する必要がある。JR東日本は高さ50メートルのポールを鉄道林内に設置して、3月上旬から風況の観測を開始する(図2)。

 ポールには各種のセンサーを取り付け、約1年間かけてデータを測定・蓄積する予定だ。収集したデータをもとに発電量などを予測して事業化を判断する。

 JR東日本は2020年に向けた「グループ経営構想V(ファイブ)」で独自のエネルギー・環境戦略を推進する方針を掲げた。大震災によって顕在化した電力不足に備えて、車両の回生電力を活用する「スマートグリッド技術の導入」のほか、再生可能エネルギーによる「創エネの推進」、駅舎の照明をLEDに切り替えるなどの「省エネの推進」を戦略の中心に据える(図3)。

図3 JR東日本のエネルギー・環境戦略(画像をクリックすると拡大)。出典:JR東日本

 その中で青森・岩手・秋田の3県で構成する東北の北部を「再生可能エネルギー基地」に位置づけている。地域に豊富にある太陽光・風力・地熱・バイオマスを生かした発電設備の拡大に取り組む計画で、秋田県の風力発電プロジェクトは第1弾になる。

 JR東日本は東北から関東・甲信越にかけた広い地域を営業区域にしていて、沿線には合計4200万平方メートルの敷地に600万本の鉄道林を保有する。引き続き防災と環境保全を重視しながら他の用途にも活用することを検討中で、その1つに再生可能エネルギーの導入がある。

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