ガソリンスタンドと同様の「水素ステーション」を全国に展開することが燃料電池車を普及させるための絶対条件になる。水素を供給するために必要な圧縮機や冷凍機などで構成する水素ステーションの設備が、およそ4メートル四方のパッケージになって4月に発売される。
神戸製鋼所がパッケージ型の水素ステーションユニット「HyAC mini」を4月に発売する。幅4.0×奥行き3.2×高さ4.7メートルのユニットの中に、水素の貯蔵・充填に必要な圧縮機、蓄圧機、冷凍機を組み込んだものだ(図1)。ユニットの屋上には機器を冷却するためのクーラーも備えている。
通常の水素ステーションでは、水素を圧縮する設備や冷却する設備を個別に建設するために、広いスペースが必要になり、建設コストも高くなる。パッケージ型のユニットを導入することで、設置面積を半分程度に削減できて、コストも2割くらい安くなる見込みだ。神戸製鋼所はユニット一式を2億5000万円以下の価格で販売することを想定している。
2015年にはトヨタ自動車がメーカーの先陣を切って、燃料電池車の市販を国内で開始する。それと並行して燃料の水素を供給するための水素ステーションを数多く設置することが普及のカギを握っている。
政府が2015年度までに大都市圏の100カ所に水素ステーションを設置する計画を進めているほか、JX日鉱日石グループなどの石油元売り大手もガソリンスタンドに併設する形で水素ステーションの展開を開始した(図2)。
設置が容易なパッケージ型のユニットを使えば、建設期間を短縮することが可能になる。水素ステーションの普及スピードを加速させる期待がかかる。
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