4人乗りの燃料電池車が2015年に市販へ、充填時間3分で航続距離は500キロ以上電気自動車

トヨタ自動車が新しい燃料電池車のコンセプトカーを「東京モーターショー」で公開する。2015年に市販予定の4人乗りのセダンタイプで、航続距離は従来の電気自動車を大幅に上回る500キロ以上になる。燃料の水素を充填する時間は3分で済み、ガソリン車並みの実用性を発揮する。

» 2013年11月08日 11時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 いよいよ燃料電池車を市販する日が近づいてきた。トヨタ自動車が「第43回東京モーターショー2013」(11月20日〜12月1日、東京ビッグサイト)に世界で初めて「TOYOTA FCV CONCEPT」を出展する。市販を想定したコンセプトカーで、電気自動車を上回る実用性を備えた仕様になっている(図1)。

図1 「TOYOTA FCV CONCEPT」の外観と仕様。出典:トヨタ自動車

 4人乗りのセダンタイプのボディに、新しく開発した小型・軽量の燃料電池を搭載する。特定ユーザー向けに2008年から販売しているハイブリッド方式の「トヨタFCHV-adv」(図2)の燃料電池と比べて、出力密度を2倍以上に向上させた。小型のセダンタイプでも100kW以上の出力を発揮して、航続距離は500キロメートルを超える。

図2 燃料電池車の仕組み。出典:トヨタ自動車

 燃料になる水素の充填時間は3分程度と短く、ガソリンの充填時間とさほど変わらない。走行用ではなく家庭用の電源として利用した場合には、1週間以上の電力供給が可能になる(1日の電力使用量を10kWhと想定)。燃料電池(FCスタック)のほかに高圧水素タンク2本を車体の床下に備える。

 国内メーカーでは日産自動車やホンダ、スズキも燃料電池車を開発済みだが、市販車はトヨタ自動車が世界に先駆けて2015年に発売する予定だ。日本政府も次世代のエコカーとして燃料電池車を早期に普及させる考えで、2015年までに4大都市圏に100カ所の水素ステーションを先行整備する計画を促進している。

 燃料電池は水素と酸素を反応させて電気を作り、電気のほかには水を生成するだけで、二酸化炭素を発生することもない。化石燃料で作った電力で走る通常の電気自動車よりも環境に優しい。航続距離と充電時間の面でも実用性が高いことから、将来のエコカーの主流になると期待されている。

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