海は最後のフロンティア、木の浮力を生かして太陽光発電自然エネルギー(2/2 ページ)

» 2014年03月31日 12時10分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
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海面に設置する適切な条件とは?

 海面上に太陽電池モジュールを設置する場合、陸上と違ってどのように設置すればよいのかデータがほとんど存在しない。まずはデータの収集が必要だ。

 そこで、2カ所の貯木場ごとに設置条件を変えた。共通する条件は太陽電池モジュールの種類(製品名)と、太陽電池モジュールの設置高さ、フロートの四隅を海底に固定するところだ。

図3 フロートの断面図(左が阪南港木材地区の場合) 出典:大阪府の資料の一部を抜粋

 阪南港木材地区では、4m四方のユニット上へ太陽電池モジュール(1318×1004mm×46mm)を縦横3枚、合計9枚載せている。このユニットを田の字方につないで1つのフロートとした。これは図1に示した通りだ。全体の出力は6.8kW。パワーコンディショナーなどの電設品は収納箱に入れて地上に設置し、フロートとは配線で接続する。太陽電池モジュールの設置角度は10度と浅い(図3)。

図4 1号池水面に設置したフロート 出典:大阪府

 1号池水面でもユニットの寸法は4m角だ。ユニットには太陽電池モジュールを9枚搭載し、これを8m×4mのフロートに載せた。ユニットが搭載されていない4m角の部分にはパワーコンディショナーなどを載せた(図4)。全体が1つのミニ発電所として完結した形だ。太陽電池モジュールの設置角度は雨などが流れるようにわずかな角度をつけているが、ほぼ0度だという。システムの出力は1.7kW。

*1) 海水面を利用する太陽光発電のプロジェクトは国内にもう1つある(関連記事)。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2013年11月に「太陽光発電多用途化実証プロジェクト」の実証事業を行う共同研究先の1つとして、シリコンプラスを選んでいる。シリコンプラスの研究は「海上・離島沿岸部太陽光発電プロジェクト」。海上に設置するための耐塩水に優れた太陽電池モジュール技術と電力安定化のためのシステム設計技術などを開発し、実証試験を行うというものだ。
*2) 「今回は薬剤を使わない防腐処理を施すことで、環境面にも配慮した」(同グループ)。

【訂正】 記事の掲載当初、木材協同組合連合会の名称を誤って掲載しておりました。お詫びして訂正いたします。1ページ目の末尾から1つ前の段落で「海水面上での利用はおすすめしないということだったという」を、「海水面上での利用を想定した実験は例がないということだったという」に変更いたしました。上記記事はすでに訂正済みです。記事公開後に注2を追加いたしました。

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