スギ材を使った架台、太陽光の環境負荷を下げる試み自然エネルギー

国内林業の課題は用途開拓が進んでいないことだと主張する住友林業は、太陽光発電と木材を組み合わせる手法を実用化した。スチールやアルミニウムを用いることが多い架台に国産のスギ材を利用した。強度や耐久性には問題がなく、軽量で塩害にも強いという。

» 2013年11月07日 07時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
図1 茨城県鹿嶋市と発電所の位置

 住友林業グループが目指しているのは国産材の用途拡大だ。「当社は国内で山林環境事業を手掛けている。国内林業の課題は伐採の手間よりも、用途が限られていることにあると考えている。市場規模としては住宅用が大きいものの、木材を余すところなく使い切ることが重要だ」(住友林業)。

 例えば同社は国内最大規模のバイオマス発電所を北海道に計画している(関連記事)。次に着目したのが太陽光発電だ。太陽光発電は二酸化炭素(CO2)排出量が少なく、再生可能だ。これを木材と組み合わせることでさらに改良できないか。その答が木材を利用した架台だ。

 「木化事業の一環として、国内で最も広く使われている10.5cm角のスギ材を利用した木製架台を社内で企画・設計した。この木製架台を採用することで、施設の建設過程のCO2排出量を減らすことができる。木製架台は軽量で施工がしやすく、塩害にも強い。20年の耐久性もある」(同社)。架台の部材はモジュール化されており、現場で組み合わせることができる他、敷地条件に合わせて構造計算を行うことで強度を高めることも可能だという。

図2 木製架台を採用した住友林業鹿島ソーラー発電所の施工風景。出典:住友林業

 次は木製架台の採用を広げる必要がある。まずは自社の発電所だ。2億6000万円を投じた「住友林業鹿島ソーラー発電所」(茨城県鹿嶋市平井)である(図2)。住友林業グループとして固定価格買取制度(FIT)を利用した初の発電事業であるという。2013年春季に企画を立ち上げ、2カ月で施工、11月に運転を開始したもの。住友林業クレストの鹿島工場に隣接した住友林業の遊休地(面積1万6460m2)を利用した。鹿島灘に面した立地である。

 発電所のうち、約4分の1に開発した木製架台を採用し、同社の木化営業部が立ち上げた。残りの部分はウエストエネルギーソリューションに設計・調達・建設(EPC)を依頼した。

 太陽光発電所の出力は876kW。想定年間発電量は約90万kWh。1kWh当たり40円(税別)で東京電力に売電する。

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