燃料費の安さで注目を集める石炭火力発電だが、燃焼した後の灰の処分が必要になる。中部電力は現在利用している処分場の容量が足りなくなる事態に備えて、新たに愛知県の港に石炭灰の埋立処分場を建設する。2017年度に着工して、2021年度から使用を開始する計画だ。
中部電力の現在の石炭灰処分場は、愛知県の碧南市で運転中の「碧南火力発電所」に隣接した埋立地にある(図1)。碧南火力発電所は合計出力が410万kWに達する日本で最大の石炭火力発電所である。2014年3月末時点で処分場の容量のうち86%が使われている状態で、今後も長年にわたって石炭火力を稼働させるために新しい処分場が必要になる。
港をはさんで対岸にある「武豊火力発電所」の前面の海域を埋め立てて(図2右)、次期の石炭灰処分場を建設する。埋立地の面積は24万平方メートルで、廃棄処分に使える容量は300万立方メートルを予定している。武豊火力発電所は石油を燃料に利用する設備であるため、新設する処分場は碧南火力発電所の石炭灰の埋め立て専用に使うことができる。
石炭火力発電の灰はセメントの原料や土木建築資材などに再利用できるが、余剰分は埋立処分が必要になる。現在の処分場は碧南火力発電所の1号機が稼働した1991年から使用を開始した。656万立方メートルの容量があり、残りは約90万立方メートルになっている。
中部電力は4月16日に地元の武豊町に処分場の開発を申請した。今後は周辺地域の環境影響評価を通じて地元の理解を得たうえで、2017年度に工事を開始する計画だ。着工から4年後の2021年度に次期処分場の利用開始を想定している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.