需要が年率0.6%増える想定の中部電力、原子力が未定でも安定供給電力供給サービス

中部電力が10社の先頭を切って2014年度の供給計画を発表した。今後も電力の需要が伸びることを想定したうえで、火力発電と水力発電の増強によって安定供給を図る。見通しの立たない原子力を織り込まずに、2022年度から火力で100万kW程度を追加する方針も明らかにした。

» 2014年03月27日 11時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 電力会社は今後10年間の需要想定と供給計画について、毎年度末までに経済産業大臣に届け出ることが義務づけられている。中部電力が3月25日に届け出た計画の概要を見ると、2023年度(平成35年度)まで年率0.6%のペースで需要が伸びていくことを想定している。直近の2013年度と2014年度の販売電力量は前年を下回る見通しであるにもかかわらず、楽観的な予測を示した(図1)。

図1 今後10年間の需要想定。出典:中部電力

 需要が増加する要因は公表していないが、経済活動の拡大を見込んでいるものと思われる。ただし現実には企業と家庭の双方で節電対策が進んで、需要が増えることは期待しにくい。しかも中部電力は2014年度から電気料金の値上げを予定していて、販売電力量が伸びないことは十分に予想できる状況にある。

 一方で供給力の拡大計画は火力を中心に進めていく方針だ。当面は現在の発電設備で需要に対応できることから、大規模な発電設備の増強は2017年度からになる(図2)。すでに建設工事が始まっているものでは、西名古屋火力発電所の7号系列が237万kWの出力で2017年度に運転を開始する。

図2 発電設備の拡大計画。出典:中部電力

 さらに老朽化した火力発電所のリプレースに向けて、2022年度から100万kW程度の電力を新たに調達する計画だ。自社を含めた競争入札を2014年度中に実施して、2022〜2036年度の15年間の電力を確保することにした。発電効率の高いガス火力か、燃料費の安い石炭火力のどちらかになる。いずれの場合でも石油火力に代わって燃料費の大幅な削減を実現できる。

 中部電力は2014年度の供給力に原子力を織り込まなかった。最新鋭のガスコンバインドサイクル方式を採用した上越火力発電所が2014年5月に全面的に運転を開始する。原子力発電所が運転できない状態でも、夏の電力需要に問題なく対応できる見通しだ。

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