ドーム球場の屋根にシート型の太陽電池、1152枚で森林と同等のCO2削減量自然エネルギー

プロ野球の中日ドラコンズの本拠地であるナゴヤドームでは深夜電力を活用するなどの節電対策に取り組んできた。新たにドーム球場の屋根にシート型の太陽電池を設置して、2017年から発電を開始する予定だ。1平方メートルあたり3キログラムの軽い太陽電池を採用して補強工事を不要にした。

» 2014年06月10日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]
図1 ナゴヤドームの屋根に設置するシート型の太陽電池。出典:ナゴヤドーム

 ナゴヤドームの屋根に設置する太陽電池は樹脂製の柔らかいシートに、通常の結晶タイプと違うアモルファスシリコンを薄く並べた構造だ(図1)。シート状で曲げることができるために、ドームの屋根の曲面にも設置しやすい。

 1枚あたり61ワットの発電が可能で、ドームの屋根の表面に合計1152枚を設置する。発電能力は70kWになり、年間で6万2000kWhの電力を供給することができる。一般家庭で17世帯分の電力使用量に相当する。

 太陽光で発電することにより、CO2の排出量は森林面積に換算して9万1000平方メートル分の削減につながる。ナゴヤドームの敷地全体(約10万平方メートル)を森林にした場合と同等の効果がある。ドーム型の野球場の屋根で太陽光発電を実施するのは世界でも初めてのケースになる(図2)。

図2 「ナゴヤドーム」の全景。出典:ナゴヤドーム

 すでに6月4日に設置工事を開始していて、3年後の2017年6月30日に完了する予定だ。シート型の太陽電池は幅が57センチメートルで、1枚の長さは2.75メートルある。1平方メートルあたりの重さが3キログラムと軽いため、ドームの屋根に設置する際に補強工事を必要としない利点がある。

 これまでにもナゴヤドームではさまざまな節電対策を実施してきた。自然の換気を取り入れて冷暖房の使用量を削減するほか、屋根の一部を二重ガラスにして採光することで照明の使用量を削減している。さらに深夜電力で氷や冷水を作って夏の日中の冷房に利用したり、冬は温水を作って暖房に利用したりすることで、ピーク電力の抑制に努めている。

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