コージェネと太陽光・蓄電池をセットに、工場や商業施設に役立つエネルギー管理

日立製作所とヤンマーエネルギーシステムはコージェネレーションシステムや太陽光発電システム、蓄電池などを組み合わせた分散型エネルギー源をシステムパッケージ化した。電気料金低減の他、二酸化炭素排出量の抑制、BCP(事業継続計画)などに役立つ。

» 2014年06月11日 15時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 日立製作所とヤンマーエネルギーシステムは、2014年6月、分散型エネルギーを利用したシステムパッケージの販売を開始した。中小規模の発電システムであり、電気料金低減や二酸化炭素(CO2)排出量の削減、BCP(事業継続計画)などに役立つという。「取り付け工事などが必要なため、案件により必要な費用は異なる。最小構成の場合、数千万円からだ」(ヤンマーエネルギーシステム)。「当社が提供する制御部分の価格は数百万円である」(日立製作所)。

 ヤンマーエネルギーシステムが1998年から販売を続けている「マイクロコージェネレーションシステム」と、日立製作所が新規に開発した「マイクログリッドコントロールシステム」を組み合わせた。分散型エネルギーシステムに求められる発電装置と施設内設備、制御装置をパッケージとしてまとめることで、導入が容易になるという*1)

*1) 2014年4月に施行された改正省エネルギー法では、自家発電や蓄電池といった分散電源を用いてピーク電力の使用量を低減する取り組みを評価する規定が盛り込まれている(関連記事)。

図1 パッケージのシステム構成 出典:日立製作所

 図1にパッケージのシステム構成を示した。自立ユニットよりも右側の機器がパッケージに含まれる。「太陽光発電システムと蓄電池を顧客が既に導入している場合はそのまま接続して利用できる」(日立製作所)。

 図1の中央上段に描かれているマイクロコージェネレーションシステムは都市ガスやLPG(液化石油ガス)などを投入して発電し、排熱を給湯や冷暖房に利用するための装置。メンテナンス間隔が1万時間以上と長く、累計6800基を全国の医療・福祉施設や工場、飲食店に納入した実績がある。「顧客が必要な容量に応じて5kW、9.9kW、25kW、35kWの装置を選択できる」(ヤンマーエネルギーシステム)。

 図1の右中央にあるマイクログリッドコントロールシステムと右上のマイクロコージェネレーションコントローラは、連携制御装置であり、ヤンマーエネルギーシステムの設備を太陽光発電システムや風力発電システム、蓄電池と組み合わせて利用できるようにする。蓄電池や太陽光発電システムのパワーコンディショナー(PCS)を制御する機能がある。

3種類の制御が可能

 マイクログリッドコントロールシステムの主な機能は3つある。省エネ・省コスト、導入先の構内系統電力の最適化、BCP対応だ。

 省エネ・省コストを実現するために、電力需要を予測監視する。その上であらかじめ定めた目標を超えそうな場合は太陽光発電システムの出力を自家消費しつつ、マイクロコージェネレーションや蓄電池の出力を制御して、目標内にとどめるといった動作だ。

 特別高圧で電気を受けるビルなどでは、一年間のうち、最も高い電力の値が「デマンド」となり、これが基本料金に反映させる。そのため、今回のシステムのように目標内にとどめる動作が重要になる。併せてピークカットやピークシフト運転も可能だ。

 構内系統電力の最適化とは、太陽光発電システムの出力変動や、構内の負荷の変動に対応する動作をいう。マイクロコージェネレーションの出力は瞬時に増減できないため、蓄電池を制御することで補助する。同時にこれらの変動によって、系統への逆潮流が起こることも防ぐ。

 BCP対応の動作は分かりやすい。停電時などはマイクロコージェネレーションを自立運転に切り替え、電力と熱を供給する。このとき、蓄電池の充放電とも組み合わせることが可能だ。

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