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» 2014年08月01日 09時00分 公開

蓄電・発電機器:性能を高め、使いやすくするには何が必要? 基本に立ち返ったSiCパワコン (2/3)

[畑陽一郎,スマートジャパン]

変換効率だけではないパワコンの性能

 2番目のポイントは、日照が時々刻々と変化する状況に対応する能力の高さだ。太陽光の強さは日の出から正午、日没へと変わっていく。さらに日本の風土では空の一部に雲がかかり、数分、数秒単位で強さが変わることも珍しくはない。

 パワーコンディショナーの機能は、直流を交流に変換するだけではない。太陽電池に対して、ある光の強さから取り出すことができる電力の量を最大化できるように振る舞うことが重要だ。これをMPPT(最大電力点追従制御)と呼ぶ(図4)。新製品ではMPPT効率を99.8%まで高めた*3)

*3) MPPT効率 = パワーコンディショナーが太陽電池から取り出した直流電力 ÷ 太陽電池が発電可能な直流電力。99.8%という値は日射量が30%〜100%の範囲で変動した場合の値。なお、変換効率の計算は、パワーコンディショナーが外部に出力した交流電力 ÷ 太陽電池から取り出した直流電力。

図4 MPPT効率が高いことによる利点。PVJapan 2014での展示

 太陽電池に光を当てたとき、外側につなぐ負荷(抵抗)の大小によって、取り出すことできる電力量が必ず変わる。「電力=電圧×電流」であるため、電力を最大化する電圧と電流の値をパワーコンディショナー側が主導して決めなければならないのだ。光の強さが変わると、最適な電圧値と電流値の組み合わせが変わるため、パワーコンディショナーの追従能力が問われる。

 ほぼ全ての住宅用のパワーコンディショナーにはMPPT機能が搭載されている。三菱電機が注目したのは、MPPTの能力を高めることが、発電能力を左右するということだ。これまでは、発電量を以下のように捉える場合が多かった。

発電量=太陽電池の出力(kW)×パワーコンディショナーの変換効率(%)

 これにMPPT効率という項目を掛け合わせたものがこれからの基準になる。「欧米のパワーコンディショナーのメーカーは当たり前のようにMPPT効率をカタログに掲載し、採用を決める側もこの値を指標としている。今後は国内メーカーの間でもMPPT効率に注目が集まると考えている」(三菱電機)。

発電量=太陽電池の出力(kW)×パワーコンディショナーの変換効率(%)×MPPT効率(%)

 MPPTは制御の一種であるため、アルゴリズムが必要だ。アルゴリズムとして採用例が多いのが「山登り法」。取り出す電圧をわずかに変化させ、取り出せる電力(電圧×電流)が増えたら、さらに電圧を変化させ……という動作をくり返し、それ以上変化しなくなるまで続ける。この手法の欠点は2つある。1つは局所的な山に「登って」しまうことだ。ただし、太陽光発電ではあまり起こらない。もう1つの欠点は山に「迂回して登って」しまうこと。「他社のMPPTではこのような動作が多いと考えている。こうなると、最適点に到達するまでに時間がかかり、日射量が急速に変化している場合、発電した電力が無駄になる」(三菱電機)。図5に表した他社のMPPTの動作(黄色い丸)は順調に発電量が増えている(登っている)ものの、最適点ではないところに到達しており、遠回りだ。

 「MPPT効率を3.1%高め、99.8%を実現できた理由は独自開発のアルゴリズム(山登り法の改良)にある。詳細を明かすことはできないが、概要は以下の通りだ(図5)。他社の方式では連続的に電圧を変化させているが、当社の方式はいったん電圧の変化を止めて、電圧を「揺らし」、着実に最適点に向かう」(三菱電機)。

図5 三菱電機のMPPTの動作(赤丸)と他社のMPPTの動作(黄色い丸)の違い。 出典:三菱電機

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