先進国を中心に再生可能エネルギーの導入が進んで、全世界の発電量の20%以上に拡大した。そのうち約8割は水力発電だが、風力発電と太陽光発電の伸びも著しい。国別の導入量では、水力と風力で中国がトップ、太陽光ではドイツが最大だ。日本は水力と太陽光で第5位に入っている。
第1回:「全世界の発電量の68%は火力で作る、水力が原子力を上回る現実」
水力発電は現在も世界各地で開発が進んでいる。IEA(国際エネルギー機関)がまとめた全世界の現状と将来の予測によると、2011年の時点で水力による発電規模(設備容量)は10億kWを超えて、さらに2018年まで年率3%程度の伸びを続ける見通しだ(図1)。その後を追って、風力、バイオマス、太陽光の導入量が拡大していく。
発電量で見ると、水力は全世界の電力の16%を供給する。CO2を排出しないクリーンエネルギーとして役割が高まっている。風力や太陽光などを加えた再生可能エネルギー全体では世界の発電量の20%を上回り、今後ますます比率が高まっていくことは確実である。
国別では中国の水力発電が圧倒的に多くて、全体の23.4%を占めている(図2)。広い国土を流れる大きな河川を利用した水力発電所が数多く稼働中だ。次いで米国、ブラジル、カナダと面積の広い国が続く中で、日本は第5位と健闘している。ロシアと同程度の発電規模がある。
水力に続く風力発電でも、中国が他国を大きく引き離している(図3)。最近の数年間で膨大な投資をもとに発電規模を拡大してきた。第2位は水力と同様に米国で、第3位と第4位には欧州で再生可能エネルギーをリードするドイツとスペインが加わる。第5位のインドも今後さらに大きく伸びるだろう。
世界全体で見た太陽光発電の規模は、今のところ水力と比べて約10分の1、風力の約3分の1に過ぎない。ただしIEAの予測では2018年までに最も大きな伸びを見せて、6年間で3倍以上の規模に拡大していく。
太陽光では欧州の先進国が先行していて、第1位のドイツは全世界の32.7%を占める(図4)。第2位のイタリアも16.6%で続き、第3位の米国の2倍以上の規模がある。日本は中国よりもわずかに少なくて第5位だが、2012年7月に開始した固定価格買取制度によって発電設備が急速に増えている。2013年度以降は米国と中国に迫る勢いだ。
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