西日本で7月の販売電力量が大幅に減少、九州6.2%減、関西4.4%減電力供給サービス

今年の夏は昨年ほど猛暑が続かなかったこともあって全国で電力の需要が減っている。7月の販売電力量は前年と比べて3.1%減で、特に西日本の減少率が大きい。最大の九州は6.2%減、次いで四国が5.9%減、関西が4.4%減になった。値上げを受けて企業の節電対策が進展した状況も見える。

» 2014年09月01日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 原子力発電所の運転停止による電力不足の懸念は、今年も取り越し苦労に終わりそうだ。電力会社10社の7月の販売電力量は全体で前年比3.1%の減少になり、10社すべてが前年を下回った(図1)。特に落ち込みが大きいのは関西・四国・九州の3地域で、天候の影響に加えて電気料金の値上げが販売量を押し下げている状況だ。電力不足の問題よりも、電力会社の売上が低迷して業績面の心配が強まる。

図1 電力会社10社が2014年7月に販売した電力量の対前年伸び率。出典:電気事業連合会

 販売電力量が最も大きく減少した九州では、家庭を中心にした「電灯」が7.9%減、企業向けの「業務用」が9.4%減になった。工場などが利用する「産業用その他」は1.2%減にとどまり、景気回復の効果は表れている。同様に減少率が大きかった関西や四国でも傾向は同じだ。西日本で値上げを実施していない中国は3.3%減、沖縄は0.2%減で小幅な減少に収まった。

 東日本では東京の「電灯」が1.1%減で、沖縄を除いて全国で最も減少率が小さかった。7月は晴天の日が多く、冷房需要が増加したためと考えられる。それでも「業務用」は4.9%減と大きな減少率になっていて、企業の節電対策が進展していることをうかがわせる。

 過去1年間の全国の需要の変動を用途別に見ると、「業務用」はほぼ一貫して減少を続けている(図2)。1年前の2013年7月には前年から3.9%増加したが、以後は大きな伸びはなく、2014年7月は前年の増加率を上回る4.8%の減少率で2012年の水準も下回った。今後も天候による変動はあるものの、長期的に需要が減少していくことは確実だ。家庭用の「電灯」や店舗などが利用する「電力」も同様の傾向にある。

図2 用途別の販売電力量の対前年伸び率(電力会社10社の合計)。出典:電気事業連合会

 工場向けの「産業用その他」だけは、景気によって需要が増加することも想定される。「産業用その他」は全国の販売電力量の4割強を占めることから、この用途で需要が増えていけば全体でも前年を上回る販売電力量になる可能性がある。電力会社の経営は景気と天候に頼る状況が続く。

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