「電気自動車・蓄電池・太陽光」、離島で作るエネルギーの環蓄電・発電機器(1/2 ページ)

鹿児島県薩摩川内(さつませんだい)市と住友商事は、離島に再生可能エネルギーを普及させるための環境整備に共同で乗り出す。九州の南西に浮かぶ上甑島(かみこしきじま)に、電気自動車「リーフ」のリユース蓄電池を大量導入。太陽光発電と合わせて系統に接続する共同実証事業を始める。

» 2014年10月17日 19時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]
図1 鹿児島県薩摩川内市と上甑島の位置

 鹿児島県薩摩川内(さつませんだい)市と住友商事は、離島に再生可能エネルギーを普及させるための環境整備に共同で乗り出す。2014年10月10日に両者が協定書を締結した。舞台となるのは九州の南西に浮かぶ離島、上甑島(かみこしきじま)だ(図1)。

 薩摩川内市が事業を主導して、蓄電池の設置場所を提供、九州電力の技術的な助言サポートを得る。他の離島にも展開可能な事業を目指す。住友商事は住友商事九州と連携して設備一式を上甑島に構築する(図2)。

 「2015年6月に着工し、同年8月に完成、同年9月に設備を稼働させる予定だ」「設備工事費は数億円程度である。そのうち、3分の2を補助金*1)で、残りの3分の1を薩摩川内市と当社で等分負担する」(同社)。

*1) 2カ所から補助金を受ける。平成26年度 環境省「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(離島の低炭素地域づくり推進事業)」に対して「再生可能エネルギー・省エネルギー等設備導入推進事業」として応募。日本離島センターからも受ける。補助金が対象とする期間は2014年10月から2017年3月末。

図2 上甑島「長目の浜」 砂州地形の一種だ。 出典:住友商事

電力状況が厳しい離島

 離島では電力系統が本土から独立していることが多い。すると、再生可能エネルギーの出力変動を島内だけで吸収しなければならなくなる。本土と比較すると明らかに条件が厳しい。

 実際に九州電力は九州本土と離島で再生可能エネルギーに対して異なる対応を取っている。同社は2014年9月25日に再生可能エネルギーの接続申し込みを数カ月保留することを発表(関連記事)。だが、離島についてはその2カ月前の7月26日に発表しており、期間も1年間と長い(関連記事)。

 系統電力の利用が難しい離島では、小規模であるため本土よりも割高な内燃力発電(火力発電)に電力を頼っている。つまり、再生可能エネルギーを普及させるなら本来は離島からだということもできる。このジレンマを解決できないだろうか。西25kmに浮かぶ甑島列島を抱える薩摩川内市は、このような状況に至る以前から、離島には蓄電池の設置がふさわしいと考えていた。

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