電力自給率100%以上は全国89市町村に、トップは地熱が豊富な大分県の九重町自然エネルギー

再生可能エネルギーだけで地域の電力需要をまかなえる自給率100%以上の市町村が2014年3月末時点で全国89カ所に増えた。最も多く集まっているのは長野県で16カ所、次いで北海道に14カ所ある。自給率の最高は大規模な地熱発電所がある大分県の九重町で2000%を超えている。

» 2014年11月27日 11時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 千葉大学と環境エネルギー政策研究所が政府の公表データなどをもとに試算した。対象になる再生可能エネルギーの電力は太陽光・風力・地熱のほかに、小水力(発電能力1万kW以下)とバイオマス(バイオマス比率50%以上)の5種類である。地域内の家庭用と業務用、さらに農林水産用を加えた電力需要に対する発電量の比率で電力自給率を示した。

 2014年3月末の時点で電力自給率が100%を超えたのは全国で89市町村にのぼる。1年前の2013年3月末の86市町村から3つ増えた。新たに加わったのは北海道の上ノ国町(かみのくにちょう)と豊浦町、長野県の飯島町である。上ノ国町には2014年3月に「上ノ国ウインドファーム」が28MW(メガワット)の規模で運転を開始している。

 全国のトップは大分県の九重町(ここのえまち)で、実に自給率は2293%に達する(図1)。町内には日本で最大の地熱発電所である「八丁原(はっちょうばる)発電所」(110MW)をはじめ、地熱による電力の供給量が圧倒的に多い。このほかトップ10には小水力発電が盛んな長野県から3つの村が入り、熊本県から2カ所、福島県・青森県・北海道・宮崎県から1カ所ずつが並ぶ。

図1 再生可能エネルギーによる電力自給率トップ10の市町村。出典:千葉大学、環境エネルギー政策研究所

 都道府県ごとに電力の自給率を計算すると、第1位は大分県の26.9%で、次いで秋田県の19.7%、富山県の17.6%の順になる。自給率が10%を超えるのは長野・鹿児島・青森・岩手・熊本・鳥取・群馬・島根・福島・佐賀・山梨を加えた合計14県である。

 さらに地域別に電力会社の管内で分けた場合には、自給率のトップは北陸の13.5%である(図2)。小水力発電だけで地域の電力需要の10%以上を供給できる状態にある。東北は13.0%、九州も11.2%で続く。最も低い関西は2.4%、東京は3.1%で、火力や原子力に依存する大都市圏の電力供給の脆弱性が改めて浮き彫りになる。

図2 地域別の電力自給率(2014年3月時点)。出典:千葉大学、環境エネルギー政策研究所

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