地域の活性化につながる再生可能エネルギーの導入プロジェクトはバイオマスのほかにも県内の各地に広がってきた。日射量が全国平均を16%も上回る岡山県の特性を生かして、巨大なメガソーラーの建設計画が現在3カ所で進んでいる。
3つの中で最大のプロジェクトは、瀬戸内海に面した「錦海(きんかい)塩田」の跡地に建設する231MWのメガソーラーである(図4)。東京ディスニーランドの10倍の広さがある500万平方メートルの塩田跡地に、総額1100億円をかけて2019年に完成する予定だ。
年間の発電量は一般家庭で7万世帯分を超える見込みで、売電収入も100億円前後に達する。この用地を所有する瀬戸内市には、20年間の土地の貸付料として総額で約100億円が入ることになっている。発電事業者は米国のGEエナジー・フィナンシャルサービスを中核にした民間企業の連合体である。
同じGEエナジーが参画するメガソーラーの開発プロジェクトは岡山県内でもう1つある。中部の久米南町(くめなんちょう)にあるゴルフ場の跡地に、32MWの発電規模で建設中だ(図5)。運転開始は2016年3月を予定している。
さらに3つ目のメガソーラーも同様にゴルフ場の跡地を利用する。GEエナジーの出資を受けて久米南町のメガソーラーを手がけるパシフィコ・エナジーが、東部の美作市(みまさかし)でも建設を進めている。発電規模は42MWで、2016年1月に運転を開始する。
塩田もゴルフ場も日当たりが良いうえに、山林などと比べると土地を造成するコストが少なくて済む。立地条件から住宅地などへの転用が難しい場合も多い。遊休地として放置しておくよりもメガソーラーを建設すれば、地域に利益をもたらす電力源として再生することができる。
岡山県の太陽光発電の導入量は固定価格買取制度の認定設備の規模で全国の8位に入っている(図6)。同様に風力発電も増えて、今後はバイオマス発電が加わる。このペースで拡大していけば、再生可能エネルギーによる電力の自給率が50%を超えることも十分に可能だ。
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2016年版(33)岡山:「晴れの国に太陽光発電所が続々と誕生、ゴルフ場の跡地や池の水上にも」
2015年版(33)岡山:「バイオマス産業都市の先駆けに、中国山地で発電と観光を両立」
2013年版(33)岡山:「全国平均よりも16%多い発電量、太陽光を5年間で3倍に増やす」
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