日本で最も風況に恵まれた地域の1つである青森県の太平洋沿岸で、洋上風力発電計画が実現に向けて動き出した。六ヶ所村にある「むつ小川原港」の港湾区域内に発電所を建設できるように、青森県が事業者の公募を開始した。すでに32基の風力発電機の設置計画を進めている事業者もある。
青森県が「むつ小川原港洋上風力発電」の事業者の公募を1月7日から開始した。むつ小川原港は県東部の下北半島の太平洋沿岸にあって、年間の平均風速が毎秒6メートルを超える風況に恵まれた場所だ(図1)。
洋上風力発電の対象になる区域は港に隣接する2カ所で、合わせて1000万平方メートルの広さがある(図2)。いずれの区域も沿岸から近距離にあるため、風力発電機を海底に固定する着床式で建設できる。
青森県が事業者を公募する目的は、港湾区域の占用許可を与える対象者を決めることにある。占用許可を得た事業者だけが発電所を建設できる。1月7日に公開した公募の要項には、発電規模を1万キロワット(10MW=メガワット)以上で実施することが盛り込まれている。
1万キロワット以上の風力発電所を建設するためには、法律によって環境影響評価を実施することが義務づけられている。青森県は環境影響評価の手続きを完了することを条件に占用許可を出す。風力発電機を設置できる空間も水面から上空100メートルまで、水面下は60メートルまでに制限して、動植物の保護や景観の保全などに配慮した。
2月2日〜20日に応募を受け付けて、3月末までに事業者を決定する。すでに同区域では発電事業者の「むつ小川原港洋上風力開発」が環境影響評価の手続きを進めている。現時点の計画では2つの区域を合わせて32基程度の風力発電機を設置して、合計で80MWの発電規模を想定している(図3)。国内の風力発電所としては最大級になる。
現在までに環境影響評価の4段階のうち2段階目の「方法書」の手続きを終了した。2015年末までには4段階の手続きを完了する見通しだ。青森県から占用許可を得られれば、2016年に着工して、2018年に運転を開始する予定になっている。同社が応募することは確実で、事業者に選ばれる確率は極めて高い。ただし青森県は公募を実施して他の事業者にも参入の機会を与える。
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