日本最大100MWの洋上風力発電所、20基の大型風車を着床式で建設へ自然エネルギー

茨城県・鹿島港の沖合で計画中の洋上風力発電プロジェクトの実施体制が決まった。発電所を建設・運営する特別目的会社にソフトバンクグループのSBエナジーが出資して、地元の小松崎グループと共同事業を開始する。発電能力5MWの風車20基を沿岸から1キロメートル程度の洋上に展開する。

» 2014年07月01日 15時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 太平洋に面した鹿島港の周辺は風況に恵まれていて、陸上と洋上の両方で風力発電所がひしめき合っている。新たに港の南側の沖合に大規模な洋上風力発電所を建設するプロジェクトが2カ所で進んでいて、そのうちの1つが事業開始に向けて動き出す。発電所を建設・運営する「ウィンド・パワー・エナジー」にSBエナジーが出資して、地元で風力発電事業を手がける小松崎グループと共同の推進体制が決まった。

 7月1日に発表した事業の概要によると、1基あたり5MW(メガワット)の大型風力発電機を20基ほど洋上に設置して、合計で約100MWの発電所を建設する計画だ(図1)。年間の発電量は2億1900万kWhを見込み、一般家庭で6万世帯を超える電力を供給できる規模になる。設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は25%を想定している。

図1 「茨城県鹿島港沖大規模洋上風力発電所」の完成イメージ。出典:SBエナジー、小松崎グループ、ウィンド・パワー・エナジー

 建設場所は鹿島港の沿岸から沖合に600〜1600メートルの海域で、風力発電機を3列に並べて設置する形を予定している。発電設備を海底に固定する「着床式」を採用する。ウィンド・パワー・エナジーは建設に先立って海底の地盤調査を実施したうえで、詳細な建設計画を策定する方針だ。建設費はプロジェクト・ファイナンスで調達して、早ければ2015年度中にも工事を開始する。

 鹿島港の洋上風力発電プロジェクトは茨城県が計画したもので、2012年に事業者を公募した結果、ウィンド・パワー・エナジーと丸紅の2社が選ばれた。対象海域の北側3.4平方キロメートルをウィンド・パワー・エナジーに、南側の同じ面積を丸紅に割り当てることが決まっている(図2)。

図2 「鹿島港洋上風力発電事業」の予定区域。出典:茨城県土木部

 SBエナジーと共同でウィンド・パワー・エナジーに出資する小松崎グループは、すでに鹿島港の周辺で「ウィンド・パワーかみす第1・第2洋上風力発電所」を稼働させている(図3)。沿岸から50メートルほどの洋上に合計15基の風車を設置して、32MWの発電能力を発揮する。

図3 「ウィンド・パワーかみす第1・第2洋上風力発電所」(上)、鹿島港の周辺で運転中の風力発電所(下、2013年4月時点)。出典:小松崎グループ、神栖市企画部

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