風力で15万kWの電力を調達へ、東京ガスが再生可能エネルギーも販売電力供給サービス

東京ガスが2016年4月からの電力小売全面自由化に向けて事業基盤の拡大を急いでいる。栃木県で120万kWの火力発電所から調達を決めたのに続いて、千葉県にある2カ所の風力発電所から電力の購入を決めた。新電力にも登録して、2015年度の下期から電力販売の営業活動を開始する。

» 2015年01月21日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]
図1 千葉県内で運転中の風力発電所の所在地(2014年3月時点)。出典:NEDO

 東京ガスが電力の購入を決めた風力発電所は、千葉県の銚子市で運転中の「銚子高田町風力発電所」(発電能力1990kW)と「椎柴風力発電所」(同9950kW)である(図1)。2カ所を合わせて約1万2000kWの電力を購入する。いずれも日立グループの「くろしお風力発電」が運営する発電所である。

 これに合わせて新電力(特定規模電気事業者)にも登録して、電力の小売事業に本格的に乗り出す。東京ガスは2016年4月の電力小売全面自由化に向けて、2015年度下期から営業活動に乗り出すことを年初に宣言した。ガスと火力発電に加えて再生可能エネルギーによる電力をメニューにそろえて、電力会社にないサービスを展開する。

 すでに東京ガスは同じ千葉県内の風力発電事業に参画しているほか、日立グループが山形県で運営している風力発電事業にも出資して電力を購入している(図2)。さらに2020年までに風力発電だけで15万kWの電力を調達する方針で、新たに契約した2カ所も長期的な拡大計画の一環である。契約期間は2015年から10年以上にわたる。

図2 東京ガスが参画している風力発電所。「袖ヶ浦風力発電所」(左、千葉県)と「遊佐風力発電所」(右、山形県)。出典:東京ガス

 電力に続いてガスの小売全面自由化も2017年4月に実施することがほぼ決まったことから、東京ガスは電力とガスを組み合わせた総合エネルギー事業を展開して競争力を発揮する戦略である。2020年には300億kWhの電力を販売する計画で、現在の東京電力の年間販売量(約5000億kWh)に対して6%程度のシェアを獲得する目標を掲げている(図3)。

図3 東京ガスの電力事業拡大計画。出典:東京ガス

 東京ガスが電力小売に向けた事業基盤の拡大を積極的に開始したことにより、地域を越えた電力会社とガス会社の提携も急速に進む可能性が高まってきた。これまで東京ガスは電力の小売事業を大阪ガスとNTTファシリティーズの3社で設立したエネットを通じて展開している。今後は自社で営業活動に乗り出すことから、エネットとは別の枠組みで連合体を形成することも予想される。

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