東北電力と東京電力が共同で運営する福島県の石炭火力発電所に木質バイオマスを混焼する設備が完成した。中国から林地残材などを加工した木質ペレットを輸入して石炭と混焼する。混焼率は3%で3月上旬に試運転を開始する予定だ。震災で中断した工事が完了して運転にこぎつける。
福島県の太平洋側で最も北にある新地町(しんちまち)に、東北電力と東京電力が共同で出資する相馬火力発電の「新地発電所」がある。石炭火力で最大級の出力100万kWに達する発電設備2基が20年前から運転を続けている。この発電所の構内に石炭と一緒に木質バイオマスを混焼できる設備を建設して、3月上旬に試運転を開始する(図1)。
混焼発電のために新設した設備は、輸送船から燃料を荷揚げする装置のほか、貯蔵用のサイロや搬送用のコンベアなどだ。新地発電所で利用する木質バイオマスは中国から船で輸入する。現地の林地残材や製材所から発生する未利用の木材をペレット状に加工したものである(図2)。
年間に最大で14万トンの木質ペレットを利用する計画で、石炭(年間に約500万トン)と混ぜ合わせて燃料に使うことで実質的なCO2排出量を削減する狙いだ。CO2の削減量は全体の約3%で、年間に最大23万トンを見込んでいる。発電所の構内には輸入した木質ペレットの貯蔵サイロ8基を建設した(図3)。
新地発電所の構内で混焼設備の建設工事を開始したのは、東日本大震災の直前の2011年1月だった。震災によって発電所全体が甚大な被害を受けて工事は中断した。2年後の2013年3月に工事を再開して、最初の着工から4年の歳月をかけて完成にこぎつけた。中国から木質ペレットを積載した初めての輸送船が2月9日に到着して混焼発電の準備が整った。
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