年間6万トンの木質バイオマスを石炭と混焼、福島県の「原町火力発電所」電力供給サービス

東北電力は石炭火力による「原町火力発電所」の設備を拡張して、地域の林業で発生する未利用の木材を燃料として利用できるようにする。年間に6万トンにのぼる木質チップを混焼させる方法で、石炭を2万トン削減することができる。2015年4月に試運転を開始する予定だ。

» 2014年04月09日 11時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 福島県の南相馬市にある「原町火力発電所」は石炭火力で200万kWの出力を発揮する。東北電力の主力の火力発電設備の1つである。この発電所に木質バイオマスを燃料として利用できるようにする設備を追加して、石炭とバイオマスの混焼発電を実施する(図1)。

図1 「原町火力発電所」の全景とバイオマス混焼設備の設置予定地。出典:東北電力

 使用する木質バイオマスは地元の福島県と宮城県のチップ加工会社から調達する。両県の森林で発生する木材のうち建築素材などに利用できない部分をチップに加工したもので、林地に放置される木材を減らして森林の環境保全に役立てる。

 原町火力発電所では年間に6万トンの木質チップを調達して、石炭に1%だけ混ぜて燃焼させる。木質チップの受入に必要なヤードやホッパーのほか、既存の発電設備にチップを送り込むためのコンベアなどを導入する必要がある(図2)。2014年4月中に工事を開始して、1年後の2015年4月に試運転に入る予定だ。

図2 バイオマス混焼設備の構成。出典:東北電力

 木質チップを混焼することによって、燃料の石炭の使用量が年間に2万トン少なくなる。この結果、CO2排出量も年間に5万トン削減できる見込みである。一般家庭のCO2排出量に換算して1万世帯分に相当する。

 東北電力は東日本大震災が発生する直前の2010年11月に、原町火力発電所と秋田県の「能代火力発電所」でバイオマス混焼発電の実施計画を決めていた。大震災によって計画が遅れていたが、ようやく原町火力発電所で工事を開始できる状況になった。

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