ノーベル賞の中村教授が創設したLED照明メーカー、日本法人を横浜に設立LED照明

次世代のLED照明を開発する米国Sorra社が、横浜市の中心部にオフィスを開設して販売体制を強化する。ノーベル物理学賞を受賞した中村修二氏が2008年に創設したベンチャー企業で、LEDの基板に窒化ガリウム(GaN)を採用して発光効率と演色性の高いLED照明を製品化している。

» 2015年04月27日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
図1 Soraa社の共同創設者でもある中村修二氏(カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授)。出典:Soraa

 「Soraa(ソラ―)」社は青色LEDを開発した中村修二氏(図1)をはじめ、米国カリフォルニア大学サンタバーバラ校の教授3人が共同で創設したLED照明の開発会社である。神奈川県による外国企業の誘致プログラムを利用して、横浜市の中区に日本法人を5月中に設立する。LED照明の導入が進んできた日本国内で販売体制を強化する狙いだ。

 Soraaの製品は次世代のLED照明として世界各国で販売されている。LEDの発光部分と基板部分の両方に窒化ガリウム(GaN)を採用した「GaN on GaN」と呼ぶ構造が特徴だ。窒化ガリウムは導電性が高く、その特性を生かして発光効率と演色性に優れたLED照明を作ることができる(図2)。Soraaは世界で初めて「GaN on GaN」を採用したLED照明を製品化した。

図2 SoraaのLED照明。出典:ウシオライティング

 日本では2012年からウシオライティングがハロゲンランプの代替品としてSoraa製のLED電球を販売している(図3)。直径が5cm(センチメートル)、長さが6cmの小型で、店舗などのスポットライトに使われることが多い。消費電力は10W(ワット)程度と小さく、寿命は3万時間である。

図3 日本で販売しているハロゲンランプ代替LED電球。出典:ウシオライティング

 通常のLED照明との違いは基板部分の素材にある。LED照明には青色LEDが使われていて、発光層やp層-n層で形成する発光部分は窒化ガリウムで作られている。ただし基板にはコストが安くて加工しやすい人工サファイアやシリコンを使うのが一般的だ。サファイアやシリコンは導電性が低いために、電流が均一に流れずに発電効率が低くなる難点がある(図4)。

図4  LEDの構造の違いによる電流の流れ方。出典:ウシオライティング

 Soraaは基板にも窒化ガリウムを採用して電流の流れを均一にした。LEDの発光効率を高めるのと同時に、照らした物体の色に影響する演色性も向上する。中村氏は「LED照明の消費電力とコストを低減するためにSoraaを設立した。われわれが開発したGaN on GaNのLEDが照明の未来を変える」と語っている。日本でどのくらい販売台数を増やせるか注目が集まる。

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