照らした時の色の見え方にも注意しよう“数字”で選ぶLED照明(3)

LED照明を選ぶ際に意外に見落としてしまうチェックポイントが「演色性」と「色温度」である。利用者にとって重要なLED照明の色について解説する。

» 2013年03月15日 13時00分 公開
[片山朋子/遠藤照明 照明計画研究所,スマートジャパン]

第1回:「消費電力と明るさの関係を読み解こう」

第2回:「コストパフォーマンスを意識しよう」

 照明装置が物体を照らした時に、その物体の色の見え方に及ぼす光源の性質を「演色性」と言う。演色性を調べるためには、あらかじめ決められた基準の8色を照らして評価する(図1)。

図1 演色性の違い。出典:遠藤照明

 同じ色を基準光源で照らした場合と比較して、どのくらい色の見え方にずれが生じるかを数値化したものが「平均演色評価数」(単位はRa)である。最高点は100で、色の見え方のずれが多いほど点数が低くなる。

 LED照明の場合、演色性の高い方が効率(ルーメン/ワット)が悪くなる特性がある。効率を重視して演色性の低いものを選ぶと、人の顔色が悪く見えたり気分が悪くなったりしやすい。

 このため、ある程度以上の平均演色評価数のLED照明を選ぶようにした方が良い。効率の高さや明るさを売り物にしているがLED照明の中には平均演色評価数が著しく低い、といった製品もあるので注意が必要だ。目安として、第1回で説明した「グリーン購入法」の値を参考にするのも良いだろう。

光色を左右する「色温度」

 飲食店などの温かみのあるオレンジの光や、オフィスでよく見られる白い光は、いずれも分類上は同じ「白色光」である。白色光の中で、青みが強いか赤みが強いか、光色の違いを色温度(単位はケルビン:K)で表す。色温度が低いほど温かみのあるオレンジの光になり、色温度が高いと青みを帯びた冷たい光になる。

 人工の光源では、一般的に使われる光色(光源から出る光の色)を5段階に分けている。色温度が2700〜3000Kの場合は「電球色」、3500Kは「温白色」、4000〜4200Kは「白色」、5000Kは「昼白色」、6500Kは「昼光色」である(図2)。

図2 色温度のバリエーション(遠藤照明のLED製品の場合)。出典:遠藤照明

 LED照明の場合は、色温度が低くて温かい色になるほど効率が悪くなる。この点も導入する前に十分に検討する必要がある。

色を実際に見て確かめることが大切

 照明器具を実際に使用した場合、空間イメージや明るさがどのようになるか。その確認のために照度計算で検証するという方法がある。従来、照度計算は床面や机上面に対して2次元で計算していたが、最近は3次元の照度計算も比較的簡単に実行できるようになっている。

図3 DIAL社が開発した照度計算ソフト「DIALux」

 ドイツのDIAL社が開発した「DIALux」という3次元の照度計算ソフトがある(図3)。これはフリーソフトで、誰でもインターネットでダウンロードして使うことができる(ダウンロードページへ)。床面以外に壁面や天井の照明効果の検証をよりリアルに行うことができて便利だ。

 ただし最善の確認方法は実際に照明器具を見ることに尽きる。実際に器具を目視することで、明るさに関する問題以外にも、色味・輝度・グレア(まぶしさ)・器具サイズ(存在感)などを確認することができる。

 LED照明では色味やまぶしさについて不安をもつ人も多いが、どのように感じるかは個人差が大きい。実際に点灯状態を確認することが第一である。実空間に近い形で展示しているショールームに行って確認することをおすすめする。

 遠藤照明ではオフィスや物販店を再現して従来の光源と比較できるように全国でショールームを開設している(図4)。LED照明に替えた場合にどのような見え方に変わるのか、ぜひ購入前に体験していただきたい。

図4 遠藤照明のショールーム(紹介ページへ

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