都市部で生きる小型EVの利便性、総勢100人のユーザーが走行検証電気自動車

低炭素社会への貢献や、新たな移動手段として注目される超小型EV。トヨタ自動車が実用化に向けた新たな試みを東京都内で開始する。同社の超小型EV「i-ROAD」を利用して、新たな駐車・充電スポットの発掘などを進め、総勢100人のモニター参加者がi-ROADに乗って利便性を検証していく。

» 2015年05月13日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 トヨタ自動車は2015年7月から、同社の超小型EVである「TOYOTA i-ROAD」(以下、i-ROAD)の本格的な普及に向けた新プロジェクト「OPEN ROAD PROJECT」を約1年間東京都内で実施する。都市部におけるi-ROADの駐車・充電時の利便性の向上や、3Dプリンタを利用したパーツのカスタマイズなどを検証するのが主な目的となるが、特有の知見や技術を持つ企業や有識者、一般ユーザーと共同で取り組むというのが大きな特徴だ。

図1 トヨタ自動車の超小型EV「TOYOTA i-ROAD」 出典:トヨタ自動車

 プロジェクトで取り組むテーマは主に3つで、1つ目が東京都内におけるi-ROADの駐車スペースの発掘だ。i-ROADは外形寸法が全長2345mm×870mm×1455mmという二輪車に近い車体のコンパクトさと、最小回転半径が3mという取り回しの良さが大きな特徴。これを生かし、スペース時間貸しや商業施設の運営企業とともに、都内の狭小スペースや空きスペースを発掘してi-ROAD専用の駐車スポットとして運用を行っていく(図2)。

図2 「i-ROAD」の駐車スポットとして利用可能な都内の狭小スペースや空きスペースの発掘を行う 出典:トヨタ自動車

 i-ROADは1回の充電で約50kmの走行が可能で、充電は100Vの一般家庭用電源でも行える。そこで発掘した駐車スポット内で利用できる電源供給コンセント口の発掘も併せて行われ、その一部をi-ROADの充電スポットとして運用する。

総勢100人がプロジェクトの内容を検証!

 2つ目の取り組みがi-ROADのボディパーツのカスタマイズだ。3Dプリンタを活用して、利用者がボディパーツの一部を好みの色や表面加工を施したパーツに交換可能にすることで、自分らしいi-ROADにカスタマイズして楽しめるようにする(図3)。

図3 ボディパーツの一部は3Dプリンタで活用したオリジナルパーツに交換できる 出典:トヨタ自動車

 3つ目が実際に東京都内在住のユーザーにi-ROADに乗車してもらい、発掘した駐車・充電スポットやボディパーツの交換といったプロジェクトの内容を評価してもらうというものだ。10台のi-ROADを、2015年7月からの約1年間を8つの期間に分け、有識者やクリエーター、一般ユーザーなどの総勢100人にそれぞれ1カ月間程度レンタルする。モニターへの応募は特設サイトから行える。

 駐車・充電スポットの設置については、プロジェクトへの参加者からの意見を随時反映させていく。こうした取り組みの他にも、現在検討が進められているi-ROADを活用した新たなプロジェクトが順次追加されていく予定だという。

 トヨタ自動車はこれまでもi-ROADを含む超小型モビリティの実用化に向けた実証試験を進めてきた。最近では「タイムズ」を展開するパーク24と共同で、2015年4月からi-ROADと公共交通機関の連携に関する実証実験を東京都内で開始している(関連記事)。

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