NTNは2014年12月、インホイールモーターシステムを搭載した2人乗りの小型電気自動車「Q'mo(キューモ)」が軽自動車のナンバープレートを取得したと発表した。公道走行が可能になる。Q'moには「その場回転」や「横方向移動」を実現する操作系が備わっている。
軸受けなどの機構部品を開発・製造するNTNは、2014年12月10日、インホイールモーターシステムを搭載した2人乗りの小型電気自動車「Q'mo(キューモ)」が軽自動車のナンバープレートを取得したと発表した(図1)。公道走行が可能になる。
車輪の中に収めた走行用モーターをインホイールモーターと呼ぶ。同社はインホイールモーターの優位性を3つ挙げている。まず、車輪ごとの回転数を独立して短時間で制御できるため、滑りやすい路面でも安定した走行が可能になることだ。モーターはエンジンと比較して応答が素早い。インホイールモーターではモーターの優位性を最大限に発揮できるという。
次に通常の電気自動車とは異なり、モーターが生み出した回転力をタイヤに伝える伝達機構が不要だ。Q'moのようにボディが小さい車では、車室空間を広くとることができる*1)。
*1) 同社のインホイールモーターは減速機を内蔵している。
3つ目の特徴は、同社が開発したマルチドライビングシステムと組み合わせることで実現した。4つの車輪を独立に操舵できるため、通常の走行とは異なる動きが可能だ。特に2種類の動きが特徴的である。
車輪を独立に約45度、左右に切ると、車体の中心を軸にあたかもコマように「その場回転」できる(図2の中央)。例えば行き止まりの道路で切り返すような場面で役立つ。
マルチドライビングシステムを利用すると横方向移動も可能だ。全ての車輪の方向を90度に設定することで実現する。縦列駐車などに向く。
図2の上段では車輪とその回転方向、インホイールモーター(IWM)の位置、車輪の方向を制御するステアリング装置の担当範囲、車両の走行方向(オレンジ色の矢印)を示した。下段はそれぞれのモードでの車輪の様子である。
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