このような車をドライバーはどうやって操作するのだろうか。Q'moのダッシュボードには図3に示すように、ステアリングの左側に特別な操作系が備わっている。
「R N D」とある部分は通常のギアチェンジに相当するボタン。その下にある丸いボタンを操作すると、ダッシュボードの表示が走行モードを選ぶ画面に変わる。
図4では横方向移動モード時の画面を示した。中央左端の2本の矢印が現在のモードを示し、その右側の矢印が移動する方向を表している。この方向を逆にするには、先ほどの操作系の3段目にあるボタンを使う。
同様にその場回転モードを選択すると、車輪が自動的に90度回転し、ステアリングがロックされる。
Q'moの外形寸法は2395×1290×1600mm、車重は675kg。後輪2輪にインホイールモーターシステムを備えており、それぞれの出力は8kW*2)。最高速度は時速70kmである。充電時間は6時間、1充電当たりの走行可能距離は50km。
今後は全国で試乗会を開催し、子育て世代や高齢者の買物、福祉用途を含めた街中での近距離移動、観光地や空港、工場や病院などの敷地内での小回りの利く移動などの用途を開拓するという。
「2013年から開始した実証事業(静岡市、三重県伊勢市)を継続しつつ、Q'moに採用したインホイールモーターシステムや、同システムと組み合わせたマルチドライビングシステムを車両メーカーに提案していく。Q'moに採用したシステムは小型のコミューターに向く」(NTN)*3)。
*2) 同社は2011年にQ'mo Iの企画を立ち上げ、試験用車両などを製作した。4輪独立操舵システムの操作系はジョイスティックである。2013年には今回の車両の原型となるQ'mo IIを公開。Q'mo Iと同IIでは4輪にインホイールモーターシステムを組み込んでいた。
*3) Q'moに搭載したインホイールモーターシステムの関連技術を他の車両に展開した事例もある。2013年10月に同社が三重県桑名市に貸与した公用車は、減速機内蔵モーターシステムをガソリン車の車体に組み込んだコンバートEV(電気自動車)だ。
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