「暑い時間は冷やさない」ピークシフト自販機の設置が10万台を突破省エネ機器

日本コカ・コーラは、省エネ型自動販売機「ピークシフト自販機」の全国の市場設置台数が2015年5月21日時点で10万台を突破したと発表した。

» 2015年05月25日 07時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 ピークシフト自販機は東日本大震災後に逼迫した日中の電力使用への持続的な対応として開発した省エネ型自販機だ。ピークシフトテクノロジーにより、一般的に電力使用がピークとなる日中から比較的電力に余裕がある夜間に冷却のための電力使用をシフトする(図1)。

photo 図1:ピークシフト自販機 ※出典:日本コカコーラ

 それにより、7時から23時までの最長16時間にわたって冷却用電力を使用せず、日中の消費電力を最大95%削減しながら、24時間冷たい製品を提供できるのが特徴だ。2013年1月から全国で設置を開始し初年度は2万8000台を設置。2014年は2013年の2倍の早さで設置が進み、2014年7月に6万台設置を達成(関連記事)。そして今回、累計設置台数が10万台を突破した。コカ・コーラシステムは、ピークシフト自販機を2020年までに全国のコカ・コーラ自販機の半数以上をピークシフト自販機にするという目標を掲げている(図2)。

photo 図2:ピークシフト自販機の設置台数推移 ※日本コカコーラの数値から編集部で作成

 ピークシフト自販機は、従来機で採用していた発泡ウレタンの10分の1の厚さで10倍の断熱性能を誇る真空断熱材を使用し、自販機の外形寸法や製品の収容本数を変えることなく断熱性の向上を図っている。また、従来機では収容製品の一部を冷却する「ゾーン冷却」を採用していたが、ピークシフト自販機は全てを冷却する「全体」冷却を用いて、自販機内の製品を蓄冷剤として使用することで、冷却効果を高めることに成功した。なお、冷媒には地球温暖化への影響が少ないCO2ノンフロンを使っている。

 コカ・コーラシステムでは1995年に自販機に「ピークカット」機能を取り入れた他、これまでにコンプレッサーの小型化やヒートポンプ、ソーラー発電、LED照明、人感センサーなどさまざまな新技術を採用した自販機を導入し、自販機1台あたりの年間消費電力量を過去15年間で6分の1に削減した。 また、地球温暖化防止への取り組みとして、温室効果の高い代替フロンHFCを使用しない自動販売機の設置を進めており、2020年までに、市場の全ての自動販売機を100%ノンフロン化することを日本のコカ・コーラシステムの目標としている。

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