岩手県は2012年3月に定めた「岩手県地球温暖化対策実行計画」に沿って省エネと創エネで築く「低炭素社会の実現」を目指すがこのほど、導入可能性が高い風力発電について、導入計画を公開した。
岩手県では、風力発電の導入を一層促進していくため、二戸地域の2地区など導入可能性が高いと見込まれる地域を選定した風力発電導入構想を策定している。今後、関係市町村と連携を図りながら、事業化に向けた取組を進める方針だ。
岩手県の再生可能エネルギーの賦存量(ふぞんりょう)は、総務省の「緑の分権改革」推進会議の推計で全国2位となっており、特に風力のポテンシャルが高いとみられている。そこで風力発電事業をさらに活性化させて、再生可能エネルギーの導入目標達成を図るものだ。
導入地区の選定に当たっては「岩手県再生可能エネルギー導入支援マップ」などの既存公表資料や、有識者へのヒアリングなどをもとに、風況や希少猛禽類の生息状況、土地利用規制、送電線などを考慮している。
今回、大規模な風力発電の導入可能性が高い地域として選ばれたのは二戸地域(稲庭高原周辺地区)二戸地域(折爪岳北側地区)久慈地域(山形基幹牧場周辺地区)花巻西部地域(中山峠周辺地区)の3地域4地区。二戸地域(稲庭高原周辺地区)は周辺に障害物が少なく、地域内に点在する牧野で高い風速が得られることや、希少猛禽類の生息状況、土地利用規制などを考慮して選定された。稲庭岳中腹周辺に点在する牧野に100MW(メガワット)程度(風力発電機2MW×50基程度を想定)を配置する計画だ(図1)。
二戸地域(折爪岳北側地区)は折爪岳周辺で南北に延びる尾根が地形的に突出しており、尾根に沿って高い風速が得られることなどが選定理由。折爪岳北側の屋根に沿って40MW程度(2MW×20基程度)を配置する計画としている。
久慈地域(山形基幹牧場周辺地区)は周辺に風を遮る山地などがなく、尾根に沿って高い風速が得られることなどで選ばれた。80MW(2MW×40基)程度を想定している。花巻西部地域(中山峠周辺地区)は広範囲にわたって高い風速が得られることや、希少猛禽類の生息状況、土地利用規制等を考慮し中山峠とその周辺の尾根が選定された。
今後岩手県では、県と市町村の情報共有の場(導入構想連絡会など)を設け、円滑な立地を支援し地域に根ざした風力発電の導入を促進していく方針だ。
岩手県の再生可能エネルギーは平成25年度実績で太陽光発電121MW、風力発電61MW 、地熱発電104MW、水力発電275MW、バイオマス発電2MWの合計568MW。これを平成32年度には1157MWに拡大する目標を立てている。このうち風力発電は25年度の実績の8.5倍にあたる575MWを計画している。
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