太陽光発電システムは影に弱い。東芝が開発したマイクロインバータはこの問題の解決に役立つ。マイクロインバータ付き太陽電池モジュールを導入すると、1枚単位で増設が可能になり、パワーコンディショナーの設置スペースが不要になる。
「住宅が密集している都市部では、太陽光発電システムを導入しにくい場合がある。影の影響だ。影があると実発電量がかなり低くなる。このような場所にも導入しやすいのが、今回PVJapan2015で初めて参考出展した『マイクロインバータ』(図1)だ。当社の太陽電池モジュール『Sシリーズ』(出力250W)と組み合わせた製品を考えている。2020年には広く使われているのではないだろうか」(東芝)。
住宅に太陽光発電システムを導入する場合、10枚程度の太陽電池モジュールを直列に接続し、パワーコンディショナーを経由して分電盤につなぐ。太陽電池が直列につながっているため、1枚に影が掛かると、全体の電流が下がってしまう(図2)。発電量が減る。このため、設置を諦めたり、影になりやすい位置を避けて設置する容量を小さくすることも多い。
東芝の解決策は、太陽電池モジュール1枚ごとにマイクロインバータを付けるというもの。影になったモジュールの出力は下がるものの、他のモジュールは全く影響を受けない(図3)。
マイクロインバータは独立した小型のパワーコンディショナーとして動作する。「マイクロインバータ付き太陽電池モジュールの導入コストは、一般的な太陽電池モジュールよりも高くなる。太陽電池モジュールの枚数分だけマイクロインバータが必要になるからだ。しかし、システム全体を見ると実発電量が多くなり、導入メリットが十分あると考えている」(同社)。
マイクロインバータの利点は影に強いことの他、2つある。1つは太陽電池モジュールを1枚単位で増設できること。従来のパワーコンディショナーでは難しい利用法だ。「既に太陽光発電を導入済みの家庭に1枚増設するといった使い方もできる」(同社)。パワーコンディショナーを経由する必要がないため、宅内配線の制約も少なくなる。集合住宅の居住者が導入する際にも適しているという。
もう1つは、パワーコンディショナーの設置スペースを必要としないことだ。「太陽電池モジュールの設置スペース以外に空間を必要としないため、公共機関に数枚設置する、壁面に設置するといった用途が開けると考えている」(同社、図4)。
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