博物学者のチャールズ・ダーウィンが「進化論」の着想を得たとして知られ、世界遺産にも指定されているガラパゴス諸島。エクアドル共和国は諸島の自然環境の保護に向け、2020年までに諸島内から化石燃料を排除する目標を掲げており、再生可能エネルギーの導入を進めている。
赤道直下に位置し、大小120以上の島々から成るガラパゴス諸島。大陸と隔絶されていることで独自の生態系を形成している地域であり、その貴重な自然環境はユネスコが定める世界遺産の第1号に認定されている。
大陸との接点を持たないガラパゴス諸島のエネルギー供給は、化石燃料を利用した小規模な火力発電による電力だ。そのため発電に必要な燃料は諸島外部からタンカーなどを利用して調達する必要がある。しかし2001年にはタンカーの座礁による大規模な重油流出事故が発生したこともあり、こうした化石燃料に依存するエネルギー供給体制が諸島内の自然環境に被害を与えるリスクが懸念されてきた。
その一方でガラパゴス諸島内には約3万人の人口が居住しており、さらに世界有数の観光地として観光客数も増加傾向にある影響で、電力需要も増加している状況にある。そこで同諸島を所有するエクアドル共和国は2007年4月に、ガラパゴス諸島における「化石燃料ゼロ戦略プログラム」を策定。代替エネルギーとして太陽光、風力、バイオ燃料などの導入を進め、2020年にはガラパゴス諸島内の化石燃料をゼロにするという目標を掲げている。
同プログラムの策定以降、ガラパゴス諸島への再生可能エネルギーによる発電設備の導入が進んでいる。このほど新たに丸紅のグループ企業である丸紅プロテックスが、日本政府の環境プログラム無償資金協力「太陽光を活用したクリーンエネルギー導入計画」の一環として、太陽光発電設備と出力安定化システムを導入する。
日本国際協力システム(JICS:JAPAN INTERNATIONAL COOPERATION SYSTEM)より受注したもので、システムの調達・据付・現地調整および操業指導は丸紅プロテックスと富士電機が共同で行う。既に設置工事を開始しており、完成時期は2016年1月の予定だ。
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