火力発電と比較したとき、再生可能エネルギーを利用した発電は不安定だと考えられている。大量導入したとき何が起こるのか。再生可能エネルギーの導入比率が日本の2倍以上に及ぶドイツの事例が参考になる。ドイツは2014年、停電時間の最短記録を達成した。
太陽光発電や風力発電など、再生可能エネルギーを大量に導入すると系統が不安定になり、停電が起こる場合があると考えられている。実際は何が起こるのだろうか。
ドイツ連邦ネットワーク庁(Bundesnetzagentur)は、2015年8月20日、ドイツ国内の平均停電時間を発表。2014年は12.28分だった。これは前年比80%に短縮できたことになるという。
今回の停電時間は、2006年にネットワーク庁の統計ベースに変わってから最も短い。同庁のヨッヒェン・ホーマン理事長によれば、時間を短縮できた最大の理由は異常気象が少なかったことにあるという。
同時に、同氏はドイツにおける「エネルギー革命」の悪影響が停電時間に現れていないことも指摘した。少数の大規模発電所に集中した形から、多数の分散した小規模発電所へと変わりつつあることの影響である。
多数の分散した小規模発電所へと変わりつつある――これはドイツにおける再生可能エネルギーの普及を意味している。
ドイツの総発電量に占める再生可能エネルギーの比率は右肩上がりで高くなっている。2014年時点で27.8%(図1)*1)。図1の再生エネ(緑線)には、風力、バイオマス、太陽光、水力、家庭ゴミを用いた発電が含まれている。図2は、ドイツに導入された大規模水力を除く再生可能エネルギーによる発電容量。太陽光(黄色)と風力(水色)が多い。
*1)日本は2014年時点で12%(大規模水力発電を含む)。
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