フロート式の太陽光発電設備は池の水面だけにとどまらない。海水の上にも太陽光パネルを浮かべることは可能だ。大阪湾岸にある2カ所の貯木場の海水面を使って、2014年から大阪府の実証実験が始まった(図8)。
海水の場合には池と違って太陽光パネルや架台に塩水がかかる。金属ではさびてしまうため、地域の森林から発生する間伐材を利用して架台を組んだ。さらに太陽光パネルにも耐塩性のある産業用の製品を採用した。フロートの上にはパワーコンディショナーも搭載しているが、配線部分をカバーで覆うなどの対策を施している。2カ所の実証実験を通じて発電量や塩害の影響を検証しながら、実用化の可能性を探っている段階だ。
水に関連する場所を利用した太陽光発電は別の場所でも始まっている。平野部の東端に位置する東大阪市では、平坦な土地が多いために大雨が降ると洪水が発生しやすい。洪水対策として、あふれた川の水を貯める治水用の緑地が設けられている。
東大阪市を流れる恩地川に沿って広がる「恩地川治水緑地」の一角に、発電能力2MWのメガソーラーが2015年6月に運転を開始した(図9)。年間の発電量は330万kWhを見込んでいて、900世帯分の電力を供給することができる。災害時には太陽光で発電した電力を府民が利用できるように、非常用のコンセントと移動式の蓄電池も備えている。
このメガソーラーは大阪府がエネルギーの地産地消を推進するプロジェクトの第1弾で、事業者を公募して実施した。大阪府は土地の使用料として年間に約1700万円を受け取る一方、洪水が発生した場合の損害は事業者が負担する条件になっている。
大阪府は2020年度までに太陽光発電で90万kWの供給力を確保する目標を掲げる。さらにガスコージェネレーションを中心に分散型の電源を30万kW、廃棄物発電などで5万kW以上を供給できるようにする方針だ。合計で125万kW以上の発電設備を府内に展開して、原子力発電に依存しない電力の供給体制を強化していく。
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2016年版(27)大阪:「大都市で生かす下水のエネルギー、バイオガス発電から熱まで供給」
2014年版(27)大阪:「電力・熱・水素まで地産地消、大都市のエネルギーを分散型に」
2013年版(27)大阪:「グリーンベイ構想で東京の先を走る、湾岸に広がるメガソーラー群」
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