下水汚泥が生む消化ガスを発電に活用、700世帯分の電力と売電収益に自然エネルギー

岩手県と水処理プラントメーカーの水ingは、消化ガスを利用したバイガス発電事業の展開に向け基本協定を締結した。「北上浄化センター」内に発電設備を設置し、年間発電量は一般家庭700世帯分の電力に相当する約250万kWhを見込んでいる。

» 2015年11月09日 11時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 全国各地で下水汚泥の処理過程で発生する消化ガスを活用した発電事業が広がっている。岩手県は「北上浄化センター」(岩手県北上市)におけるバイオガス発電事業の展開に向け、水処理プラントメーカーの水ingと基本協定を締結したと発表した。

 水ingが北上浄化センター内の土地を県から借り受けて発電施設を設置し(図1)、県から購入する消化ガスを利用して発電を行う。発電した電力は再生可能エネルギーの固定買取価格制度を利用して電力会社に売電する計画だ。

図1 「北上浄化センター」に設置する消化ガス発電設備のイメージ 出典:岩手県

 設置する設備の発電容量は350kW(キロワット)。北上浄化センターでは年間147万Nm3(ノルマルリューベ)の消化ガスが発生する見込みで、年間の発電量は一般家庭700世帯分の電力に相当する約250万kWh(キロワット時)の計画だ。これにより年間1500トンのCO2削減効果も見込める。発電期間は2017年4月からの20年間を予定しているが、水ingではこれを前倒すことも検討しているという。

 こうした既設の下水処理場などを利用した発電には、設備を所有する自治体と、発電を行う事業社の双方にメリットがある。今回の場合、岩手県は土地の貸し付けや消化ガスの売却による収益を、水ingは発電に必要な消化ガスを安定的に入手しつつ、同時に売電収益を得ることができる(図2)。

図2 今回の発電事業の概要 出典:岩手県

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