電力会社は太陽光と風力の接続可能量を算定するにあたって、各地域の前年度の需要をもとに、電源の種別に供給力を積み上げて出力制御の必要量を計算する。原子力・地熱・水力の出力を維持しながら、火力は最低限の出力に抑える(図7)。そのうえで太陽光と風力の出力を予測する方法だ。
さらに需要が小さい時間帯には余剰電力を揚水式の水力発電所に供給して、需要が大きい時間帯になると発電して需給バランスをとる。揚水式による需給調整については利用量の拡大が以前から求められている。各社が2015年度の算定に使った数値は2014年度と変わっていない(図8)。揚水式の調整能力も政府の委員会は再検証する必要がある。
もう1つの大きな問題点は原子力による供給力の見積もりだ。運転可能な原子力発電所をすべて稼働させることを前提にしているうえに、東北では建設途上の「大間原子力発電所」まで対象に加えている(図9)。
実際に稼働できるか不確定な状態にある原子力発電所の供給力を確保しておくために、太陽光や風力の発電設備が接続しにくい状況を作り出している。政府は2014年に策定した「エネルギー基本計画」の中で、「原発依存度については、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより、可能な限り低減させる」と宣言した。現状の接続可能量の算定方法は、この方針に反する。
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