原子力1基を廃止する九州と中国で、太陽光+風力の接続可能量が増える法制度・規制(1/3 ページ)

太陽光発電と風力発電の導入プロジェクトに影響する「接続可能量」に関して、2015年度の算定値が7つの地域で確定した。原子力発電設備1基の廃止が決まった九州と中国の接続可能量が増える一方、北海道・東北・四国では電力の需要が減少した影響で接続可能量も減る結果になった。

» 2015年11月11日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 全国10地域のうち7つの電力会社では、送配電ネットワークに接続できる太陽光と風力の発電設備の総量に制限を設けている。「接続可能量」と呼ぶ基準値で、太陽光発電設備が急増した2014年度に導入した。発電事業者が電力会社に接続を申し込む設備の容量が累計で接続可能量を超えると、それ以降に申し込んだ発電設備は無制限で出力制御の対象になる。

 需要が小さい春には太陽光や風力で発電しても、電力を供給できなくなって売電収入も得られない可能性がある。発電事業者にとって収益に大きな影響を与える接続可能量は、電力会社が共通の方法に基づいて算定することになっている。2014年度に7社が初めて公表したが、その後の状況の変化をふまえて2015年度の数値を算定し直した。

 政府が11月10日にまとめて公表した各社の結果を見ると、7つの地域すべてで接続可能量が変化した(図1)。太陽光の接続可能量は中国と九州で2014年度よりも増えている。中国では558万kW(キロワット)から660万kWへ、九州も817万kWから849万kWへ増加した。いずれも原子力発電所のうち1基(島根1号機、玄海1号機)の廃止を決めた影響による。

図1 太陽光発電設備の接続可能量。出典:資源エネルギー庁

 太陽光と風力の接続可能量を算定するにあたって、運転可能な原子力発電所はすべて稼働させることを前提にしている。老朽化などを理由に原子力発電設備の廃止が決まれば、その供給力に見合う太陽光と風力の接続可能量が増える。中国と九州では太陽光に加えて風力の接続可能量も拡大する(図2)。

図2 風力発電設備の接続可能量。上段が2014年度、下の2段が2015年度。出典:資源エネルギー庁

 その一方で原子力発電所の廃止が確定していない地域では、2014年度と比べて電力の需要が減少したために、太陽光の接続可能量が軒並み減る結果になった。北海道では117万kWから0万kWへ、東北でも552万kWから505万kWへ大幅に減っている。

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