日射計を設置しなくても日射量が分かるサービスが始まる。高度3万5000キロメートルの静止衛星軌道から、日本全土を観測するひまわり8号の能力を利用する。500メートル四方の日射量を2分半ごとに提供するサービスだ。
日本気象協会は2015年12月1日、日射量推定サービス「SOLASAT 8-Now」の提供を2016年4月から開始すると発表した。
この情報を用いれば、太陽光発電所に日射計を設置しなくても、推定出力を計算できる。推定出力と実出力と比較することで太陽光発電所の異常を検知できる。電力自由化と合わせた新電力サービスにも役立ちそうだ。
SOLASAT 8-Nowでは、1平方メートル当たりの日射量(ワット)が分かる。情報更新頻度は2分半間隔、空間分解能は500メートルだ(図1)。実データから15分遅れて提供する。
2015年7月から正式運用を開始した静止気象衛星「ひまわり8号」の観測データを日射量推定アルゴリズムにかけて日射量を求める(図2)。情報更新頻度と空間分解能はひまわり8号の性能で決まった。実データからの遅れはデータ処理に必要な演算時間によるもの。
同協会は運用中のひまわり7号を用いた日射量推定サービス「SOLASAT-Now」を提供中だ。ひまわり7号の観測データは8号よりも荒いため、空間分解能は1キロメートル、更新間隔は30分。実データからの遅延も30分ある*1)。
「SOLASAT 8-Nowの料金は現行のSOLASAT-Nowよりも高くなる予定だ。サービス内容を改善したためである(図3)」(日本気象協会)。
*1) 地表は植生の違いなどから反射率が異なる。さらに、一時的な積雪などの影響を受けて値が変化する。SOLASAT-Nowでは、観測データに対して、反射率や太陽高度の影響を加味し、日射量推定モデルを用いて推定日射量を計算している。
同協会は、複数の日射量推定・予測サービスを総称して「SOLASAT」と呼んでいる。現在はSOLASAT-Now以外に3つのサービスがある。例えば6時間先まで、30分ごとの日射量を予測する「SOLASAT-Nowcast」だ。
「ひまわり8号のデータ仕様に合わせて、SOLASAT-Nowcastのサービス内容を2015年度中により高める予定だ。ただし、過去のデータを提供するSOLASAT-DB、SOLASAT-Globalは当面、従来と変わらない」(日本気象協会)。
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